レーザー誘起蛍光法と相関法による速度および温度場の同時計測に関する開発研究
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
画像処理 / 乱流 / レーザ誘起蛍光法 / 伝熱 / 成層流 / 衝突噴流 / レーザー誘起蛍光法 / 二次元計測 / 自然対流 / 強制対流伝熱 / 時系列計測
【研究成果の概要】
前年度までに開発された画像処理による温度と速度場の同時計測装置を用いて、現有の円管内温度成層流および新規構築された二次元衝突噴流系よどみ域における温度と速度を面的かつ時系列に計測し、得られたデータを前年度購入のエンジニアリング・ワークステーションを用いて新規購入のデータ処理・可視化ソフトウェアにより種々の方法で解析することで熱流動場における乱流混合および乱流伝熱機構を解明した。
現有の円管内温度成層流系は円管直径60mmでああり、レイノルズ数7400、全域的リチャードソン数0および2.5の2条件で、十分下流の温度と速度を面的かつ時系列に計測した。一時刻で約1000点の瞬時速度・温度が時系列に1000時刻分得られ、それをエンジニアリング・ワークステーションに転送し、可視化ソフトウェアによって瞬時速度、温度、渦度の可視化および平均速度、平均温度、乱れ速度、乱れ温度、乱流熱流束、平均渦度および平均自乗渦度の算出を行った。平均温度・速度分布は従来の結果と合致し、また既存のLDVによる同時計測結果ともよく一致しており、前年度開発された本計測システムの信頼性が確認された。時系列渦度分布から、温度成層流には非成層時には見られない明確な秩序構造が存在することが明らかになった。これは浮力によって混合が抑制されるためと結論づけられた。
新規構築された二次元衝突噴流系は水を作動流体とし、ノズル幅14.5mm、最大ノズル出口流速200mm/sの二次元噴流をステンレス箔ヒーターによって通電加熱された衝突板に噴射するものである。この衝突板よどみ線上から噴流上流へかけての流体側温度と速度を同時計測した。瞬時渦度分布およびその時系列分布を可視化した結果、よどみ線上には回転方向を異にした渦対構造が頻繁に発生し、これによって壁面近傍の高温流体が温度境界層外へ輸送されるため渦対の存在する部分で高い乱流熱流束が発生することが明らかになった。この渦対は噴流上流より流下し衝突面近傍で渦度を高める。さらに、平均自乗渦度の輸送方程式の各項の収支を求めることで平均流による渦度の増幅が大きな要因であることが判明した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
菱田 公一 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1992 - 1993
【配分額】5,300千円 (直接経費: 5,300千円)