病理検査を対象とした自動切り出しロボットの開発
【研究キーワード】
ロボット / 遠隔操作 / 自動化 / 病理 / 切断
【研究成果の概要】
昨年度に引き続き,東大病院病理部と産総研により病理画像を収集し,それらの画像に対するアノテーションを行った.開発した画像処理手法を用いて,切り出し作業の対象となる部位のセグメンテーションを行った.また,医師の切り出し作業を撮影し,医師の動作解析を行った.撮影した画像から刃物の動作を抽出し,解析する必要があるが,前年度に撮影されたものが解像度や撮影の方向などからして十分ではなかったので,刃物に目印をつけるなどの工夫をするとととに,撮影角度,大きさを変更した.
切除シミュレータに関しては,前年度までの研究により,構築したシミュレータによって反力の予測がある程度可能であり,また,引き切りによって垂直方向反力を小さくすることができることがわかったので,切り出し軌道の最適化・自動化のために開発したシミュレータを用いた強化学習を行い,垂直方向反力をより小さくすることを試みた.具体的には,ナイフ初期高さと被削材厚さとの比と、ナイフの初期角度をパラメータとして垂直方向反力を最小化する軌道を強化学習によって求めた.問題設定として,次の2ステップとした.ステップ1では、ナイフをある初期角度とある高さからナイフ角度が0になるまで回転しつつ引き切りをする.次にステップ2では残りの高さを回転なしで引き切りする.学習結果から,すべて引き切りの場合は垂直方向反力が最も小さく,落とし切りの場合は垂直方向反力が最も大きかった.被削材としてシリコーンゴム、および豚肝臓を用いた実験を行った.豚肝臓を切除した際にも,回転なしの引き切りの際に垂直方向反力が最も小さく,落とし切りの条件の際に最も大きくなった.このことから,回転なしの引き切りが有効であることが分かった.
【研究代表者】