生分解性高分子の高強度化と生分解性に及ぼす分子鎖構造および高次構造の解明
【研究分野】環境関連化学
【研究キーワード】
生分解性高分子 / ポリヒドロキシブチレート / ポリ乳酸 / セルロースエステル / 分子鎖構造 / 結晶構造 / 物性 / 酵素分解性 / 生分解性 / 繊維 / 高強度化 / 高次構造 / 延伸 / 分解酵素
【研究成果の概要】
生分解性脂肪族ポリエステルであるポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート](P(3HB))と天然高分子誘導体であるセルロースエステル(CE)との一軸延伸ブレンドフィルムを作製したところ、これまでにない特異な分子鎖配向挙動を示すことを見出した。X線回折及びFT-IR分析により、CE分子鎖は延伸方向に平行に配列し、P(3HB)分子鎖はCE分子鎖間において延伸方向に対して垂直に配列していることが分かった。
P(3HB)のエレクトロスピニングにより、直径100nm程度のナノファイバーを作製することに成功した。電子線回折及びX線回折より、ナノファイバーには2回らせん構造と平面ジグザグ構造の2種類の分子鎖構造が存在することが分かった。酵素分解実験を行ったところ、平面ジグザグ構造の方が、2回らせん構造より速く分解されることが分かった。
立体規則性の異なる2種類のポリ乳酸、ポリ(L-乳酸)(PLLA)とポリ(D-乳酸)(PDLA)、を用いて、ステレオコンプレックスフィルムを作製し、その構造及び物性の測定を行った。ソルベントキャストフィルムおよび一軸延伸フィルムにおいては、ステレオコンプレックス結晶とホモポリマー結晶の2種類が観察された。しかし、低倍率の延伸フィルムを熱処理することにより、完全にステレオコンプレックス結晶のみで構成されるフィルムを作製できることが分かった。しかし、破壊強度はホモポリマー結晶とステレオコンプレックス結晶が混在している方が、ステレオコンプレックス結晶のみより強いことが分かった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】29,770千円 (直接経費: 22,900千円、間接経費: 6,870千円)