ゼオライトの特性を生かした新しい触媒反応系の設計と開発
【研究分野】工業物理化学・複合材料
【研究キーワード】
ゼオライト / 金属イオン交換 / 直接アミノ化 / 一酸化窒素 / 反応活性点
【研究成果の概要】
本年度の研究はほぼ申請時の計画通りに進行し、以下の点を明らかにした。
1.活性の三次元制御によるゼオライトの分子識別能の高度化
(1)金属イオン(Cu^<2+>、Ag^+、Ca^<2+>、Co^<2+>)1個当たりの可逆及び不可逆吸着NO量はゼオライトのA1含有量に依存し、A1含有量が減少するに従って増加することがわかった。
(2)吸着NO量の吸着温度依存性の結果から、低温域(<273K)ではAg交換体が、中温域(280K〜333K)ではCu交換体が、高温域(>333K)ではCo交換体が多量のNOを可逆的に吸着することを明らかにした。
(3)IRおよびTPO測定から銅イオン交換ZSM-5ゼオライト上の可逆吸着NOは大部分NO^+として吸着していること、一方、不可逆吸着NOはNO^+、NO_2^+、NO_2^-及びNO_3^+で吸着していることを明らかにした。
2.一酸化窒素除去用Cu-ZSM-5ゼオライトの反応活性点の設計と合成
(1)FT-IR測定によりCu-ZSM-5上でのN_2生成は炭化水素中間体とNOあるいはO_2の反応により進行することがわかった。さらに、Cu-ZSM-5のHNCO導入によりCu-NCO吸着種がNOと非常に速く反応し、N_2を生成することがわかったので反応中間体はCu-NCOと推定した。
(2)Cu-ZSM-5上でのN_2生成は、(1)まず、炭化水素の酸素酸化により含酸素中間体を生じる。(2)この活性中間体が気相のNOと反応してNCO種を生成する。(3)NCO種がNOあるいは、O_2と反応しN_2を生成する反応機構を提案した。
(3)種々の貴金属担持ZSM-5触媒のNO選択環元活性の序列はPt〉Rh〉Pd〉〉Ru 【approximately equal】 Irであることを明らかにした。さらに、Pt-ZSM-5は最も低温(485K)でN_2転化活性を示すこと、H_2O共存下においても活性の低下はないことがわかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
八尋 秀典 | 北海道大学 | 触媒化学研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
水野 哲孝 | 北海道大学 | 触媒化学研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1991 - 1992
【配分額】7,300千円 (直接経費: 7,300千円)