極微量血液からの迅速薬物モニタリングを実現するハンディシステムの構築
【研究キーワード】
導電性ダイヤモンド電極 / 分子標的薬 / 電気化学センサ / 分子鋳型 / 治療薬物モニタリング / ダイヤモンドセンサ / 導電性ダイヤモンド / 電気化学 / TDM / ダイヤモンド電極 / 分子インプリンティング
【研究成果の概要】
安心・安全な薬物療法を実施するためには、血中の薬物濃度と薬の効果や副作用を観察しながら投薬量をコントロールする必要がある。しかしながら、現在、多くの処方薬において臨床の現場で簡単、迅速に測定できる装置が存在せず、治療薬物モニタリングが困難な状況である。以上を踏まえ、本研究では、極微量の血液から薬の濃度を「その場で瞬時に」測定するハンディシステムの創出を目指している。
本年度は、利尿薬トリアムテレン、抗がん剤であるドキソルビシンや分子標的薬パゾパニブを測定象薬物とし、それらをダイヤモンド電極センサにて感度良く計測するため、最適なサンプルの前処理方法や電気化学測定法を探索した。さらに、これらの薬を尿中や血漿中に溶解したサンプルを作成し、測定可能であるか検証した。
検討の結果、これらの薬物を含む血液や尿サンプル測定前の処理方法として、除タンパク処理液、遠心分離法の最適化を通して、サンプル採取から測定完了までの時間は、8分以内と短時間を実現した。
また、センサの薬物選択特異性を付加するために、ドキソルビシンの分子鋳型を作成した。作成した分子鋳型は、pH7.4条件下で、ドキソルビシンに対して特異的に吸着することを確認した。さらにこの分子鋳型は、特定条件にて吸着したドキソルビシンを分子鋳型から排出する。また、放出後は再度ドキソルビシンを吸着可能である。これにより、本分子鋳型は繰り返しの使用の可能性を示した。
【研究代表者】