円偏光を用いたラマン散乱分光の再検証
【研究キーワード】
ラマン散乱 / 円偏光 / フォノン / マグノン
【研究成果の概要】
フェリ磁性体YIGにおける光学マグノン(Kaplan-Kittel交換共鳴モード)を円偏光ラマン散乱を用いて観測し、その周波数の温度依存性を精密測定した。その結果から、交換相互作用定数を正確に決定した。
さらにマルチフェロイック物質BiFeO3においての円偏光ラマン散乱測定を行い、これまで未確定であった、フォノンのモード同定を行った。また、各フォノン周波数の温度依存性を測定し、スピン・フォノン結合の可能性について考察した。
以上の結果から、円偏光ラマン散乱によって、直線偏光ラマン散乱だけでは得られなかったモードや、モード同定を達成できたといえる。
【研究の社会的意義】
円偏光を用いたラマン光学活性(ROA)は以前から知られていたが、その効果は小さく、また適用できる対象物質はキラル物質等に限られていた。円偏光ラマン散乱をモードの同定として用いるという本研究手法は原理が単純明快であり、幅広く様々な結晶に対して適用可能であるため、フォノンやマグノン振動モードの解析、マグノン探索において極めて強力な手法となるであろう。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2021-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)