界面活性剤を含まないナフタロシアニンナノ粒子の作製と光音響イメージングへの応用
【研究キーワード】
レーザー / ナノ粒子 / 近赤外光 / 光音響 / フタロシアニン / ナフタロシアニン
【研究成果の概要】
2021年度には、ナフタロシアニンと同系列で様々な特性が既に多く調べられているフタロシアニンに関して、比較として中心金属がないものを主に検討を進めた。
フタロシアニンに対して、超純水中でレーザーフルエンスを振って532 nmのレーザー光を照射すると、走査電子顕微鏡観察により、レーザーフルエンスが増加すると共に微細化が進行し、柱状のミクロンサイズの原料が、1次粒径および2次粒径が数百ナノメートルから数十ナノメートルの粒子へと変化することが確認された。また、レーザーフルエンス75 mJ/cm2では、1次粒径が数百ナノメートルの球状ナノ粒子の生成が確認された。
作製したナノ粒子分散水溶液の吸収スペクトル形状において、ソーレー帯とQ帯のダビドフ分裂に関して、銅ナフタロシアニンと同様に、800 nm付近の長波長側のピークはレーザーフルエンスを増加させると消失する傾向が見られ、β型からα型への結晶構造変化が示唆された。ピーク強度に関しては、フルエンスの増加と共に150 mJ/cm2までは増加したが、その後は減少傾向が観察され凝集が示唆された。
ナノ粒子分散水溶液において、ナノ粒子の凝集による吸収係数の低下を用いてナノ粒子の分散安定性を評価できることから、各レーザーフルエンスでの分散安定性を評価したところ、300 mJ/cm2の高レーザーフルエンスにおいて最も安定な傾向が得られた。この原因を調べるために、ゼータ電位を測定したところ、300 mJ/cm2のレーザーフルエンスにおいて最も高い絶対値の値を得た。これは、高いレーザーフルエンスによるアブレーションの効果で生成ナノ粒子が帯電したためと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)