ラザフォード散乱同時計測法による荷電粒子励起X線放出分析の高感度化
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
PIXE / RBS / 同時計数 / 微量元素分析 / 特性X線 / 連続X線 / 制動放射 / イオンビーム / 回時計数
【研究成果の概要】
昨年度には,ラザフォード後方散乱(RBS)との同時計数を増加させるため,測定立体角が大きいアニュラ型のSi表面障壁型半導体荷電粒子検出器(SSD)を用意し,これを真空容器のビーム入射側(後方)に設置した.しかし,荷電粒子励起X線放出(PIXE)のスペクトル上で入射ビームがこのSSDに衝突することによるバックグラウンドが増大した.このためやむをえず今年度は従来通り通常型のSSDを用いて測定を行った.ただし,今回はPIXEとの同時計数率を向上させるために散乱断面積の大きい前方の45°にSSDを設置した.
試験用のターゲットとして,ポリカーボネート薄膜上に原子吸光分析用の標準溶液を滴下,乾燥したものを用いた.PIXE, RBSの時間信号をそれぞれTiming Filter Amplifierにより増幅した後,Constant Fraction Discriminatorに通して波形整形を行い,Time to Amplitude ConverterにStart, Stop信号として入力し,時間差に比例する波高信号を発生させた.この信号を波高分析器に与えて波高分布を調べたが,時間スペクトル上に特定のピークが見えず,したがってPIXEとRBSの信号間に有意な時間的相関を見出すことができなかった.適当な時間領域でPIXE測定用マルチチャンネルアナライザーにゲートをかけたが,X線スペクトル上で二次電子の制動放射による連続バックグラウンドを低減させることはできなかった.
比較的薄い試料としてフィルターに付着した土壌や浮遊粒子状物質等の環境試料,及び燃料電池電極触媒薄膜中の微量元素測定も行ったが検出感度を向上することはできなかった.これらの結果により,入射陽子の散乱角と内殻電離確率との定量的関係について再検討する必要があることが分った.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷川 純 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
小川 雅生 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)