光誘起表面振動スペクトロスコピー法の開発と液体表面の超高周波部製研究
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
液体表面物性 / 表面張力 / 表面粘弾性 / リプロン / 放射圧 / 単分子膜 / 表面波スペクトロスコピー / 表面張力波 / 光誘起表面変形 / 表面弾性率 / ラングミュア膜 / 表面緩和
【研究成果の概要】
本研究において我々はレーザー光が液体表面に入射するときに表面に及ぼす放射圧を利用して、液面のミクロな領域を変形させる技術を開発した。界面を通して液体に入射するレーザー光は、空気中と液体中の屈折率の差によりその運動量が変化する。この変化分が放射圧として現れ、液体の表面あるいは界面を非接触で変形させることができる。レーザー光強度を変調すれば液体表面を高速で振動させることも可能である。周期的に強度が変化する放射圧下での液面の動的な変形応答は、表面張力や表面粘弾性など液面の機械的な性質を反映する。これらの性質は液体表面に吸着したわずかな分子により大きく影響を受ける。表・界面の振動スペクトロスコピーにより,液体表面・界面の動的な性質を高い時間・空間分解能で調べることが可能となる。
研究ではまず,MHz域での測定が可能な高性能表面観察システムを作製した。高周波電気光学変調器と対物レンズを用いて、1MHzを超える高周波領域での液面振動励起を試みた。これによりこれまで測定することのできなかった液面の微小領域の表面物性測定が可能になった。さらに液面における光の集光形状の制御により様々なモードの表面振動を励起することができる。円筒レンズを用いた励起実験では、数100kHz域において液体表面を伝搬する平面波モードの表面波を励起することに成功した。その振幅・減衰の周波数依存性を測定することにより、液体の表面張力とずり粘性率を精度よく測定できることが明らかとなった。
光よる表面の非接触変形手法は、表面の高速ダイナミクスを調べるための要素技術となる。また界面物性測定のみならず、界面の形状を介して相互作用する吸着分子や粒子などの観察、さらには表面での分子凝縮膜の形成過程の解明など、今後様々な応用が期待できる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
坂本 直人 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
高木 堅志郎 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】12,600千円 (直接経費: 12,600千円)