カーボンナノチューブを用いた電界誘起波長可変発光素子・超小型分光器の開発
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
カーボンナノチューブ / 発光素子 / 分光器 / ゲート電界印加 / 電界効果トランジスタ / 単一電子トランジスタ / バンドギャップ制御 / 応力印加
【研究成果の概要】
本研究では、カーボンナノチューブの両端から電子と正孔を注入し発光する、新しい電界誘起によるカーボンナノチューブ発光素子の開発を最終的な目標とした研究提案であった。そして、具体的には、
(a)2つのゲート電界印加による電子・正孔生成の独立制御とそれらを用いた新規発光素子の開発
(b)引っ張り応力印加によるエネルギーギャップの連続制御および波長可変素子への応用
の2つの研究段階を行うことを目標とした。
研究段階(a)については、アルコールを用いた化学気相成長法によりカーボンナノチューブを成長し、発光可能なカーボンナノチューブの作製を試みた。その結果、近赤外領域において、一本のカーボンナノチューブからのフォトルミネッセンスを観測することに成功した。また、一本のカーボンナノチューブに対して2つのゲート電極を形成するデバイス作製を行った。この素子において、一本のカーボンナノチューブに対してゲート電圧印加が可能かどうか低温での電気測定により調べた所、クーロンピークが2つのゲート電圧に依存して格子状に観測することが観測され、一本のカーボンナノチューブに対して局所的なゲート電圧印加が可能であることを示した。
研究段階(b)については、圧電素子を用いて引っ張り応力が印加可能なデバイスの作製を試みた。その結果、圧電素子上に間隙数百nmの2枚のSi基板間へのカーボンナノチューブ架橋構造を作製することに成功した。また、圧電素子に電圧を印加することにより2枚の基板間の間隙を変化させることが可能なデバイスが得られた。さらに、この素子において、フォトルミネッセンス測定を行ったところ、発光を観測することに成功した。今後、応力印加による発光波長の変化を確認することにより、波長可変素子への応用が期待される。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)