高感度化EQCM法を用いた酸化還元酵素のダイナミック解析
【研究分野】生体関連化学
【研究キーワード】
EQCM / シトロムC_3 / ヒドロゲナーゼ / シトクロムC_3 / シトクロム
【研究成果の概要】
本研究では電気化学水晶発振子微量天秤を用いることにより、生体物質、特にタンパク質の機能を高感度で解析が可能なシステムの構築を行った。タンパク質の中でも反応に電子の授受を伴うタンパク質を測定対象とする。一般的に反応に電子の授受を伴うタンパク質ではタンパク質の酸化還元状態、すなわち電位により生体物質との間の相互作用が変化する。本システムを用いることにより反応に電子の授受を伴うタンパク質と生体物質との相互作用が詳細に測定できた。
電極上に固定化されたタンパク質は電極電位により様々な酸化還元状態をとり、特定の酸化還元状態の時あるいは特定のタンパク質間のみ電子伝達を行うことが可能である。タンパク質は特定の生体物質によりコンフメーション変化が誘起された後、電子伝達を行うのに対し、別の酸化還元状態にあるタンパク質は電子伝達が可能なコンフォメーションを初めからとっており、様々な生体物質間での電子伝達が可能となると考えられる。
そこで、本研究では、硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris(Miyazaki)由来の電子伝達タンパク質であるシトクロムc3はと生体内でヒドロゲナーゼと電子の授受を行う。そこで、シトクロムc3と電子伝達パートナーであるヒドロゲナーゼのとの間の電子伝達反応を測定した。まず、電極上に人工の電子伝達体であるビオローゲンを固定化し、生体内の電子伝達体との比較を行った。シトクロムc3は電子プール機構を有していると考えられており、実際に測定した結果、人工の電子伝達体であるビオローゲンに電子を供与する際は電子プール機構を示し、電子伝達複合体形成が遅くなることがわかった。生体内の電子伝達体であるヒドロゲナーゼを用いた場合、このような電プール機構は観測されず、素早い電子伝達複合体形成が観測された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】4,120千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 420千円)