デジタル検出技術を基盤としたウイルスの新規感染診断法の開発
【研究キーワード】
1分子生物物理学 / bioMEMS / 1分子計測 / CRISPR-Cas / デジタルバイオロジー
【研究成果の概要】
昨今、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な流行に伴い、汎用的なウイルス感染診断法の確立が急務とされている。従来の感染診断では、ウイルス由来のRNAやDNAをPCRなどで増幅し検出する方法と併せて、タンパク質抗原を抗体反応により検出する方法が主流であったが、それらは一般的に、感度・精度・計測時間の何れかにおいて技術的な欠点を内在しており、大量の検体を高効率・高感度・高精度に解析し、感染診断につなげることが困難な状況にあった。この現状を打破すべく、本研究では、独自の生体分子のデジタル検出技術に、核酸検出酵素であるCRISPR-Cas13aを実装することで、ウイルス由来のRNAを1分子単位で高感度・高精度・短時間に解析できる新規技術の開発を目的としている。
今年度は、1)自動分注装置と蛍光顕微鏡を組み合わせた全自動検出装置の開発、2) 新種のCas13a(LtrCas13a)を核酸検出へ応用、3)磁気ビーズを用いた濃縮法の開発により、RT-qPCRと同等かそれ以上の感度でかつ9分以内にSARS-CoV-2を全自動検出できる新規技術の確立に成功した。また、Cas13aによる核酸検出の鍵であるガイドRNAの配列最適化により、変異株に特徴的な1塩基変異を識別して、検出することが可能となり、ひいては、alpha, beta, delta, omicron株などの変異株の迅速判定も可能となった。更に、臨床検体を用いた実証実験を行い、陽性判定、変異株判定ともに98%以上の正解率を達成した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
野田 岳志 | 京都大学 | 医生物学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
西増 弘志 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
武内 寛明 | 東京医科歯科大学 | 大学院医歯学総合研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2024-03-31
【配分額】42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)