ナノ空間極小液滴操作による1分子化学処理法の開発とサイトカイン1分子分析への応用
【研究キーワード】
ナノ流体工学 / ナノ流路 / 液滴 / 1分子
【研究成果の概要】
ナノ空間の流体工学の進展により、化学分析の可算個分子レベルへの超微量化が実現しつつある。しかし、試料分子数が限定されても、空間の微小化の単なる延長では流体工学の極限である分子1個の輸送・化学処理とこれにより初めて実現する1分子分析には到達できない。本研究では、独自技術によりナノ流路で極小液滴を生成して、統計力学の原理により液滴中に試料分子1個を閉じ込め個数の単位で配列・輸送、更に液滴の合一により1分子を衝突・反応させる方法論とこれを用いた分析法を創成し、病変部の表皮角化細胞、涙液、汗などに含まれるサイトカイン分析に応用することを目的とする。研究項目A)液滴連続生成・輸送・合一のためのナノ流体デバイスの開発、研究項目B)液滴を利用した1分子配列、輸送、反応操作の検証、研究項目C)1分子分析の検証に取り組む。
2021年度は研究項目A、Bに取り組んだ。幅2000 nm、深さ900 nmのT字型ナノ流路を設計してトップダウンガラス加工により作製し、表面をトリメチルシランにより疎水修飾した。四ホウ酸ナトリウム水溶液をナノ流路に流し、フッ素オイルで切り取ることで液滴を生成した。液滴生成の圧力条件を見出し、体積5fL、頻度280Hzの液滴生成を検証した。この液滴を1粒子輸送に応用し、40 nmの蛍光ナノ粒子1個を液滴に閉じ込めて輸送することに成功した。これにより、本研究で最も基本的な操作であるナノ流路での液滴連続生成と液滴を用いた1粒子輸送を検証した。今後更なる液滴の微小化に取り組み、液滴合一操作と化学反応に展開する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉崎 歩 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2025-03-31
【配分額】25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)