放射線によるDNA損傷形成における水和水の作用の解明
【研究キーワード】
放射線 / DNA損傷 / パルスラジオリシス / 初期過程 / 界面 / 共鳴ラマン分光 / 吸収分光 / DNA / 時間分解測定 / アガロースゲル電気泳動 / 水和水
【研究成果の概要】
DNA近傍には配向した水和水が存在し,十分離れた位置にある普通の水(自由水)とは性質が異なる。放射線によるDNA損傷誘発における水和水のはたらきを明らかにすること目的とした。
時間分解測定(パルスラジオリシス)では吸収分光と共鳴ラマン分光を実施した。前者では,グアニンのヌクレオチドを用い,化学回復を直接観測した。後者は,設計から始め信号取得にまで漕ぎつけた。
大腸菌プラスミドDNA(pUC18)に生じた安定なDNA変異はアガロースゲル電気泳動法で高感度に検出および定量した。透析による不純物除去の結果,薬剤の微量添加の影響を検討できるようにした。
【研究の社会的意義】
放射線の生体影響は被ばく時のリスク評価やがん放射線治療の高度化といった観点から注目されているものの,水和水に着目した研究は少ない。放射線防護剤・増感剤の設計指針は自由水中で得られてきた知見に根差しているため,本研究の成果によりさらに高度化されることが期待できる。また,時間分解測定を単色の放射光やレーザー光ではなく放射線で行ったことも特徴である。淡色の光では“整った”始状態(初期損傷)が誘発されるのに対し,放射線では“ばらけた(多種多様な)”始状態がランダムに生じ,複数の始状態が複合的に作用する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
横谷 明徳 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 量子生命科学研究所 | 統括グループリーダー | (Kakenデータベース) |
佐藤 健 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
室屋 裕佐 | 大阪大学 | 産業科学研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
平山 亮一 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部 | 主任研究員(定常) | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)