地質・物理・化学・統計の統合解析による海底Fe-Mn酸化物探査手法の確立
【研究キーワード】
鉄マンガン酸化物鉱床 / 資源探査 / 海底地質 / 化学分析 / 統計解析 / マンガンノジュール / 南鳥島EEZ / X線CTスキャン / マイクロXRF / 下部周極深層水
【研究成果の概要】
南鳥島EEZ内で行われた全16回の有人潜水調査船「しんかい6500」による潜航調査(YK16-01およびYK17-11C航海)により採取された全試料について、X線CTスキャンにより明らかになった3次元Fe-Mn層の成長構造を解析した。さらに、微小部蛍光X線分析装置(マイクロXRF)を用いてYK16-01航海で採取したマンガンノジュール(各サンプリング地点の代表性をCTデータに基づき考慮)の微細な化学構造を明らかにし、ノジュールの広域分布との対応を検討した。以上の解析の結果、(1)ノジュールは形状や大きさの違いに関わらず、どの方向にも均等に成長すること、(2)様々な大きさのノジュールの成長開始は同時ではなく間欠的で、広大なノジュールフィールド全体において同様の層構造パターンを形成することが判明した。さらに、南極周辺から地形のフレームワークに沿って流れる下部周極深層水が、何度も南鳥島EEZ海域に流入することによって新しいノジュールの断続的な形成開始と既存のノジュールのさらなる成長を促していることが明らかになった。南鳥島EEZにおけるFe-Mn酸化物層の成長過程の一般性・普遍性を示すことができた一方で、地形と深層海流という資源探査プロトコルを構築するうえで重要な新しい着眼点も得ることができた。
また、代表的なFe-Mn層構造を示す試料について、径1mmのマイクロドリルを用いて試料から分析用粉末をサンプリングする方法を採用してRe-Os同位体分析を行なった。また、得られたOs同位体比変動と海洋のOs同位体比経年変化曲線を対比し、マルコフ連鎖モンテカルロ法ベイス推定を用いた信頼性の高い年代決定を行なった。その結果、分析した中で最も古い試料は、約34 Maに成長を開始したことが判明した。また、どの試料にも、20 Ma前後に長期間の成長ハイエイタス(時間間隙)が認められた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安川 和孝 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
大田 隼一郎 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
藤永 公一郎 | 千葉工業大学 | 次世代海洋資源研究センター | 上席研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2026-03-31
【配分額】43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)