発掘調査から解明する人類・アフリカ類人猿系統と旧世界ザルの競合進化
【研究分野】自然人類学
【研究キーワード】
中新世 / 化石霊長類 / 進化 / アフリカ / ナカリピテクス / オナガザル科 / ヒト上科 / 運動適応 / 古人類学 / 化石 / 霊長類 / 人類進化 / 類人猿 / 競合 / 人類学 / 東アフリカ
【研究成果の概要】
1000万年前に形成されたナカリ層(ケニア)の発掘調査を行い、得た化石資料からこの地域に同時期に棲息していた霊長類の多様性、及び環境利用における競合の程度を推定した。ナカリ層からは、人類と現在のアフリカ類人猿の共通祖先に近いと考えられるナカリピテクスが知られているが、他に2種の大小類人猿を発見した。これらの化石と共にオナガザル科の化石が多数得られている。類人猿とオナガザルの歯のエナメル質の酸素と炭素安定同位体分析からは、これらが類似した環境を利用していたことが示され、潜在的な競合関係が示唆された。
【研究の社会的意義】
現在アフリカに生息するゴリラ、チンパンジー属と人類とが、何がきっかけで、異なった進化過程を歩み始めたかは、人類進化における最大の未解決問題の一つである。この問題の解決が遅れている理由は、1200万から700万年前のアフリカの化石資料が著しく乏しいためである。本研究チームが開拓したナカリからは数種の類人猿を含み10種を越えると推定される霊長類が知られている。類人猿とオナガザルは競争を経ることで、互いに異なる方向へ進化を始め、結果的に類人猿・人類系統は追いやられたとする仮説が提唱されているが、これを化石資料から直接的に実証する研究は、本計画が世界で初めてである。
【研究代表者】