捕食圧がサバンナヒヒの生活史に及ぼす影響
【研究分野】自然人類学
【研究キーワード】
霊長類 / 生活史 / 捕食圧 / サバンナ / アヌビスヒヒ / ヒョウ / 性別の偏り
【研究成果の概要】
生活史は、生物が生まれ、成長し、繁殖し、そして死ぬプロセスである。体の大きさ、寿命、生殖能力などの生活史の特徴は捕食圧力の影響を受ける。本研究は、①アヌビスヒヒが夜間に移動しないこと、②主要な捕食者であるヒョウは、夜間にアヌビスヒヒに接近していたこと、③アヌビスヒヒの対捕食者戦略として、安全な寝場所の選択と警戒の増加があること、④オスのアヌビスヒヒは選択的に食べられた可能性があったこと、⑤捕食圧が高いと社会性比はメスに偏り、出産間隔は長くなったこと、を明らかにした。地上性の高い初期人類も夜間に捕食者に対して脆弱であり、捕食者対策として寝場所の安全性を高める工夫を必要としたことが示唆される。
【研究の社会的意義】
霊長類に対する捕食圧を提供してきたこれまでの研究では、夜間観察が困難であること、観察者の存在が捕食者の活動に影響を及ぼすことから、観察例が引き下げられていた可能性がある。本研究は、初期ヒト族への捕食圧の推定と、彼らの社会構成を考えるうえでの新たな知見を加える学術上の意義がある。
また、野生動物を対象とした研究分野でGPSテクノロジーの価値が明らかになるにつれて、霊長類を対象とした研究でも首輪を装着する研究が増えると予想される。私たち自身の経験に基づいたGPSテクノロジーの利用に伴うリスクと注意項目を報告することは、将来の研究に役立つ点で社会的な意義をもつ。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
河村 正二 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
國松 豊 | 龍谷大学 | 経営学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)