東アフリカ鮮更新世の古環境と人類進化に関する研究―コンソ遺跡群を中心に―
【研究分野】人類学(含生理人類学)
【研究キーワード】
エチオピア / 人類進化 / 哺乳動物進化 / 古環境 / 同位体分析 / 古地磁気層序 / エナメル質
【研究成果の概要】
本研究ではコンソ遺跡群における現地調査を基軸に人類進化と古環境に関する研究を多面的に遂行した。従来の現地調査を継続し、地質、古生物、先史考古調査を進め、世界最古級のアシュール型石器群集の出土層位を確定し、その年代情報を充実した。その結果、最古のものが170万年前まで遡ることが確定され、ホモ・エレクトスの出現とのタイムラグが定説以上に小さいことが示された。コンソにおける石器群集の発展と動物相変遷の双方の観点から重要な170万から145万年前の間の層序・年代情報が従来不十分であったが、本研究では詳細な古地磁気調査を実施し、約150万から160万年前ごろの層位に特異的な古地磁気パタンを検出し、コンソにおける年代観の向上を果たすと同時に、地球規模の古地磁気層序への貢献が示唆された。動物群集の評価については、ウシ科、ウマ科、イノシシ科、ゾウ類、鳥類の各分類群の解析を進め、系統的、古環境的特徴を論じ、ブーリ遺跡のゾウ化石の発掘と解析と合わせ、ユーラシア大陸との交流が150万から100万年前の間に起こったことを示した。また、コンソの動物群集の時代推移と古環境変遷に関する従来の仮説を同位体分析によって検証した。古土壌とエナメル質の安定同位体の分析結果は、従来の古環境復元を大方支持しながらも、より詳細な解釈が可能となった。例えば、人類化石を多数産出した140万年前ごろのKGA10では乾燥草原の広範な分布と共にC3植物の存在が示された。
【研究代表者】