デスモスチルスの歩行機能に関する古生物学的研究
【研究分野】層位・古生物学
【研究キーワード】
歩行 / ロコモーション / デスモスチルス / 哺乳類 / 機能形態 / 比較解剖 / 復元 / 古生物学 / 運動機能
【研究成果の概要】
哺乳類の関節を持ちながら爬虫類のような側方型の体肢をもつデスモスチルスが、実際にどのように歩いたのかを復元するために2通りのアプローチを行った。このためまず、現生哺乳類各種の歩行をビデオカメラで撮影した。このテープをビデオデッキで1/60秒ごとにディスプレイし、歩行速度に応じて、1/60,1/30、1/20秒ごとにモニターをモータードライブカメラで撮影した。こうして得た連続写真を接地・離地の位相によって区分し、支持脚式から歩行様式に分類した。今回は6種類の歩容を採取できた。各動物各歩容の歩行周期、後肢立脚率、前後肢接地ずれ率、後肢体幹長比から2変数を選んでグラフを作成し、相関を調べた。また、接地様式の代表的な4タイプ、疑蹄行性、蹄行性、趾行性、蹠行性を選び、写真から、肘、手首、膝、足首の4関節の屈曲率を計測して0.1秒ごとの変化をグラフにし、動物ごと、関節ごとに比較した。一方、関節部で可動式のデスモスチルスの骨格模型を作成した。各関節には実際の関節に擬した動きが可能なように、肩関節と股関節にはユニバーサルジョイント、肘、膝、距腿関節にはヒンジジョイント、そして複雑な手首の関節には車軸関節を模したジョイントを組み込んだ。前肢、後肢とも、爪先を前に向けた状態で、手足の接地点が矢状方向の軌跡を描くような運動が可能であることが確認された。デスモスチルスの歩容は後方交差型で最も遅いvery slow diagonal walkが第一に考えられる。歩高速度の上昇につれてslow racklike walk、normal walkと変化する歩容で、どの型までが可能であるかを調べるのが今後の課題である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山崎 信寿 | 慶応大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1993 - 1994
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)