昆虫の生得的行動,幼虫食餌選択の機構に関する研究
【研究分野】動物生理・代謝
【研究キーワード】
昆虫の生得的行動 / アゲハチョウ / 産卵誘起物質 / 感覚毛 / レセプター / ケージ内営巣 / 昆虫の本能 / 生得的行動 / 幼虫餌選択 / 昆虫生理学 / アゲハ産卵誘起物質 / アゲハ嗅覚毛
【研究成果の概要】
先端的研究では、アゲハの産卵誘起物質の作用について多角的な共同研究をおこなった。アゲハ♀は前肢フ節をはげしく葉をたたいてから産卵行動にかかる。ミカン葉の産卵誘起物質は、フ節の感覚毛で感覚される。じじつ感覚毛をキャピラリーチップ法でしらべると、いくつかの誘起物質に応答して活動電位を発生させる。感覚毛の微細構造は4個の神経細胞からなり、それぞれ1本づつ長い突起を毛の先端開口部に伸ばしている。チョウ300羽のフ節を集め、RNAを抽出、cDNAライブラリーを作成した。現在まで約100クローンのヌクレオチド配列を決定したが、そのうち2つが7回細胞膜を貫通するレセプターと相同ホモロジーをもっており、産卵誘起物質レセプターの可能性があり、その検証が望まれる。
オナガアゲハの産卵誘起物質が食草のコクサギから単離され、C_<17>H_<20>O_9の6-(β-D-glucopyranosyloxy)-benzofuran pnopionic acid と同定された。
萌芽的研究では、2種類のハナバチをケージ内で代々営巣させ、利用する花資源が幼虫時代の食餌と関係しているかどうかをテストとした。ヒメウツギの花に集まるウツギヒメハナバチはヒメウツギだけに固執し生得的であった。それに対し、アルファルファハキソバチは手当りしだいで何でも花であればよかった。狩りバチでは、オオフタオビドロバチを用いて、ケージ内営巣に世界ではじめて成功した。準備的研究では、幼虫時代に食べたガの幼虫を親になってから選択的に狩る傾向があった。なお詳細な追究が必要である。
【研究代表者】