精子運動運動を制御する細胞情報伝達機構の生理学的解明と分子遺伝学的解析
【研究分野】動物生理・代謝
【研究キーワード】
ホヤ / ニシン / ナメクジウオ / ヒト / 精子活性化物質 / 精子走化性 / カルシウム・ナトリウム交換反応 / 高速度ビデオ解析 / ユウレイボヤ / 精子運動活性化 / ステロイド物質 / カルモジュリン / 高速度ビデオカメラ / 精子運動開始 / store-operated Caチャネル / 単一イオンチャネル / ダイニン軽鎖 / 精子運動阻害物質 / 受容体 / 精子走行性 / リン酸化チロシン / イオンチャンネル / ヒト精子 / 精子培養系 / cDNAクローニング / イオンチャネル / 蛋白リン酸化 / パッチクランプ法
【研究成果の概要】
ニシン精子運動活性化についてはカルシウムイオンが2次メッセンジャーとして働いていること、cAMPは精子活性化の要因でないことが明らかとなった。更に精子活性化に伴い細胞膜の脱分極が起こること、カルシウム、ナトリウムの交換機構による細胞内カルシウム濃度の上昇が精子運動活性化に重要であることが分かり、細胞内情報伝達機構の大略が明らかとなった。ホヤでは精子活性化・誘引物質(SAAF)が2基の硫酸基を持つ新規のステロイドであるという画期的な成果を得た。現在この2種での成果を2報の論文にまとめ、それぞれをProceedings National Academy of Science, USAに投稿中である。精子走化性については、ホヤ精子で精子のとる軌跡コンピューターによって処理し、シミュレーションによって精子走化性を取り扱う数理学的研究が、さらなる精密度を求め、高速度ビデオによる軌跡解析を行うことで完成した。ヒト卵胞液由来の精子活性化物質についてはその精製が進み、それが分子量の小さな、既知のプロゲステロン、心房性利尿因子など精子を活性化することが薬理学的に知られていた物質と異なる新規物質であることが確認された。ナメクジウオでは精子に精活性化物質が結合しており、放精と同時にそれが海水中に放出され、精子を活性化することが明らかになり、最近、精製を精力的に行いほぼ精製標品を得るに至った。現在、ナメクジウオ精子活性化物質の分子機構の解明に向けて研究を行っている。
【研究代表者】