脊索動物の精子運動調節機構の比較生理化学的解析
【研究キーワード】
受精 / 精子運動 / カルシウム / 精子 / 鞭毛運動
【研究成果の概要】
本研究は、精子走化性をはじめとした精子運動調節機構に着目し、Ca2+シグナル系を比較解析して共通性と多様性を理解し、最終的には多様性・種特異性を含めた受精時における精子運動調節の分子機構の全容解明を目標とする。今年度は下記の研究を行った。
(1) 精子運動調節に関わるCa2+シグナル系の解析: PMCAとSAAFの相互作用および立体構造解析を行うための組換えタンパク質発現系として、哺乳類細胞でのPMCA発現系構築を引き続き行っている。
(2) 硬骨魚類精子の運動開始を担うCa2+シグナル系の同定: CatSperの存在しない真骨魚類精子の運動開始機構に関与する分子の同定を目指している。今年度は、2020年度に引き続きクサフグの精子形成期の精巣のサンプリングを行った。その材料を元にRNAseqを行い、現在データ解析を進めている。
(3) 脊索動物精子の運動調節におけるCa2+シグナル系の調節機構: ホヤのPMCA比較について、2020年に行った4種に加えて、Ascidia ahodori, Ascidia zaraについても配列を同定し,全てのホヤには精巣特異的なPMCAのバリアントがあること,細胞外ループ中に種特異的なアミノ酸配列があることが明確になった。
(4)近縁種における精子運動調節の種特異性: 紐型動物であるタカクラヒモムシKulikovia alborostrataとされていた同所的に生息する色違いの集団(紫グループ、黄グループ)について、明確に生殖隔離があることが明らかとなり、紫グループをK. alborostrataとして引き継ぐ一方、黄グループを同属別種K. fulvaとして記載した。この2種の生殖隔離は卵と精子の相互作用によるもので、精子運動調節には明確な種特異性がないことが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉田 薫 | 桐蔭横浜大学 | 医用工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)