真核細胞の分裂機構
【研究分野】動物発生・生理学
【研究キーワード】
卵成熟 / 成熟促進因子 / 付活 / 細胞質分裂 / 紡錘体 / 染色体運動 / アクチン / 減数分裂 / 卵成熟促進因子 / 人工受精 / カルシウム / 分裂装置 / 細胞分裂 / 核分裂 / 発生開始 / 細胞周期
【研究成果の概要】
1.卵成熟・発生開始の機構:
(1)Ca緩衝液やイノシトール三燐酸の細胞内注入により、マウスの未受精卵を付活させることができ、15μM以上の細胞内Ca濃度で、減数分裂が再開・完了することがわかった。
(2)成熟促進因子(MPF)は燐酸化で活性化されたタンパク質であるという説に否定的な結果を得た。ヒトデの成熟卵から成熟を誘起するmRNAを得た。これにはサイクリンと相同な塩基配列が存在した。
(3)カエル卵の減数分裂に伴うMPFの出現は卵核胞に依存しない。卵核胞のない卵でみられるMPFの出現は、表面収縮波の出現・卵の「かたさ」の上昇と同期した。
(4)人工付活の際にゼノパス卵で見られるCa波と同じものが、卵の受精の際にも検出された。
(5)人工付活ヒトデ卵の中心粒が紡錘体形成に関わるときの動きを調べた。
(6)細胞周期の開始に関わる卵前核の役割を示唆された。
2.染色体運動の機構:
(1)後期染色体運動にはATPが必要であることを、生細胞への顕微注射により確認した。
(2)染色体運動の原動力は、染色体に近接した半紡錘体中に局在することがわかった。
(3)誘導された半紡錘体についての観察から、中心体・星状体は、紡錘体形成には必要だが、後期染色体運動には必要でないことが示唆された。
3.細胞質分裂の機構:
(1)テトラヒメナのアクチン遺伝子を同定し、アクチンのアミノ酸配列を推定した。従来のアクチンとは75%相同で、生化学的性質も異なるが、生物学的機能は同一であった。
(2)両生類卵で分裂溝形成の準備が完了するのは、離層が表層に達した時であることがわかった。
(3)アクチン繊維に結合するウニ卵の調節タンパク(スペクトリン・20K蛋白・100K蛋白・255K蛋白・45K蛋白・デパクチン)の特性がわかった。分裂溝を単離し、その収縮を誘導することに成功した。
(4)分裂周期に伴うCa^<2+>の変化を調べた。
【研究代表者】