生活史戦略理論による社会生物学と群集生態学の統合:外来アリからクローナル植物まで
【研究分野】生態・環境
【研究キーワード】
生態学 / 群集 / 生活史 / 進化 / 撹乱 / 社会性昆虫 / 植物 / サンゴ / 攪乱
【研究成果の概要】
本研究は、一旦定着したら移動性に乏しい超個体という共通の特徴を持ち、かつ生物多様性と生態系サービスの維持のための鍵となりうる生物分類群、アリ、シロアリ、サンゴ、クローナル植物が、環境撹乱にどう適応しているのかという視点を切口に、群集生態学と社会生物学を生活史戦略理論の観点から統合再構築することを目的とした。超個体の分割比と分散距離のトレードオフに関するコロニーベースモデルの一般版を平衡点安定性解析に関する定理を用いて、環境撹乱下における「近傍分巣対遠隔分散」の生活史モデルの詳細な解析を行った。平衡点の安定性条件の結果から、撹乱そのものは従来の生態学の定説どおり遠隔分散戦略を有利にするという結論が得られた。また、本研究グループによる先行研究では想定されていなかったコロニー間に干渉的な相互作用がある場合についても解析を行い、撹乱下でコロニーの分割比や拡散距離においていかなる戦略が有利になるのか検討した。これらモデルの予測を実地に検証すべく、撹乱が生活史各ステージに与える影響を、沖縄のサンゴ礁(枝状サンゴ)、沖縄のイタジイなどの樹木、沖縄にすむ外来アリ類、シロアリ類、本州の多年生の草本植物であるイタドリ等を材料に、フィールド調査、操作実験、分子マーカーによる解析を行った。関連テーマで日本生態学会大会と個体群生態学会大会において外国人研究者を招聘し2つの国際シンポジウムを開催した
【研究代表者】