人間-サンゴ礁共存系に関する学際的国際共同研究企画調査
【研究分野】水工水理学
【研究キーワード】
サンゴ礁環境 / 人為的インパクト / 現地調査 / 石垣島 / フィリピン / パラオ / サンゴ礁環境モニタリング / 環境NGO
【研究成果の概要】
サンゴ礁環境システムに及ぼす人為的インパクトとして,周辺陸域からの人為影響(土壌流入・過剰栄養塩流入など)やサンゴ礁の過利用といった直接的な人為影響に焦点を絞り,それらの実態解明と定量的な評価のための総合的現地観測を実施する目的で,その予備的調査を幾つかの重点的調査対象を選定して行った.
まず,2001年7月に,人為インパクトが顕著に現れている典型的な沿岸域の一つである沖縄石垣島サンゴ礁海域での予備調査を行った.この海域は,すでに研究代表者らがサンゴ礁環境に関する現地調査を重点的に行ってきている海域であるが,今回は,サンゴ礁単独ではなく,サンゴ礁-藻場-干潟-マングローブ統合生態系として環境影響評価を試みるべく,藻場,干潟,マングローブ生態系にも詳しく調査経験が豊富なフィリピン大学海洋研究所のFortes教授らのグループを招き,共同で予備調査を行った.2001年10月には,フィリピンで予備調査を行い,フィリピン大学海洋研究所の上記のFortes教授,Villanoy助教授,同大学地質研究所のSiringan助教授らと,フィリピンをフィールドとした沿岸生態環境調査の具体化について検討した.このうちSiringan助教授は,別途日本学術振興会・拠点大学交流プロジェクトでの招へいで来日し研究代表者の研究室に約3ケ月間滞在した際,サンゴ年輪気候学的解析を導入した調査を行うことによって,現時点のみならず過去に遡ったサンゴ礁への環境影響の評価を行うことの可能性について検討した.2002年3月には,最近「パラオ国際サンゴ礁センター」が日本政府の全面出資により設立され,しかも森林伐採に伴う表層土壌流出現象が問題になりつつあるパラオをフィールドとして,予備的なサンゴ礁環境調査を行う予定である.手法としては,研究代表者らのグループが最近精力的に観測を行っている沖縄の石垣島・白保海域でのサンゴ礁物理環境観測の経験や,茅根らのグループによる石垣島・白保海域やパラオでのサンゴ礁物質循環観測の経験を活かして,対象サンゴ礁海域と周辺陸域を含んだ総合的な観測調査を行うことを想定した観測計画を立て,そのための予備調査を行う.また,サンゴ礁環境保全に有効な継続的なモニタリング体制構築には,さまざまなNGOグループとの連携がきわめて重要になることから,本企画調査では,そのための予備的なケーススタディーとして,パラオにおいてサンゴ礁保全の積極的な活動を展開しているPalau Conservation Societyと連携し,我が国におけるサンゴ礁環境モニタリング手法をパラオに技術移転し,環境モニタリング体制を立ち上げるための検討を,上記の3月下旬の調査に併せて行う予定である.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大見謝 辰男 | 沖縄県衛生環境研究所 | 赤土研究室 | 研究室長 |
二瓶 泰雄 | 東京理科大学 | 理工学部 | 専任講師 | (Kakenデータベース) |
茅根 創 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
波利井 佐紀 | 東京工業大学 | 大学院・情報理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
鹿熊 信一郎 | 沖縄水産試験場 | 漁業室 | 室長 |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)