変異理論を用いた方言接触と言語消滅の研究-旧南洋群島パラオ島の日本語
【研究分野】言語学
【研究キーワード】
社会言語学 / 変異理論 / 新方言形成 / ファウンダー・プリンシプル / 言語消滅 / 退行仮説 / 言語接触 / パラオ / 方言接触 / 日本語 / 太平洋 / ミクロネシア
【研究成果の概要】
3ヵ年計画の最終年度の研究として、本年度はこれまでの調査・研究を総括しつつ、比較研究も織り交ぜながら、次なる研究に向けての土台を整備した。そもそも本研究は、20世紀前半にパラオで形成された「パラオ日本語」の特徴を方言接触の観点から掘り下げ、その後の言語消滅のプロセスを解明することを目指したものであり、本年度はこれまでの研究内容を補足・充実させるとともに、総括的かつ総合的な分析・研究を展開した。具体的には、(1)本年度前半は、昨年度の調査で得られたパラオからの引揚者の会話データを分析した上で、パラオの日本語流暢話者(fluent speaker)との比較研究を行いながら方言接触理論のひとつであるFounder Principleを再検証し、(2)本年度後半は、あらたに2つの話者タイプ(former speakerとrememberer)の会話データを分析し、fluent speakerとsemi-speakerとの比較研究を行いながら言語消滅過程に関する仮説であるRegression Hypothesisを重点的に検証した。(1)の研究成果は、来る7月の「16th Sociolinguistics Symposium」および「16th World Congress of Sociology」にて報告する予定であり、また(2)に関しては、すでに「2nd International Conference on First Language Attrition」にて報告した。なお、この3年間の研究成果の一端は、「2nd International Symposium on Language in Society and the Classroom : Preserving Heritage and Supporting Diversity(UNESCO Linguapax Project)」においても活用したところである。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】2,600千円 (直接経費: 2,600千円)