無季節環境下での個葉・シュート特性のトレードオフと植物生活形多様性
【研究分野】生態
【研究キーワード】
熱帯山地林 / 生活形 / 葉 / 寿命 / 形態 / 生理生態 / シュート / 生物多様性 / 照葉樹林 / 葉特性 / 葉の寿命 / シュート成長 / 生物多様体
【研究成果の概要】
熱帯山地は、温度と乾燥のストレスもかかりにくい、植物にとってもっとも恒常的な環境であり、植物の生活形多様性が高い。そこでは、適応的分化を反映する明瞭な生理機能レベルのトレードオフが存在すると推測される。本研究では、個葉およびシュートモジュールレベルのトレードオフが、同じ地域の恒常的な環境下での多様化を促進しているという仮説に立って、葉およびシュートの生理機能の分化を解析した。本研究が主対象としたのは、西ジャワ州のハリムン山国立公園であり、対照として、屋久島の照葉樹林においてもセンサスも行なった。
ハリムンでは、110種の葉寿命の観測を3年間にわたって行なった。葉の窒素利用効率は、葉の原形質成分と細胞壁成分に分けて分析し、葉の寿命と、葉の構造維持にかかわると想定される細胞壁成分の窒素分画の増加について分析を行なう。着生大型シダのオオタニワタリや、つる性ヤシ科のロタンなどでは、詳細な成長解析を実施した。種間で、当年葉展開時の水分配や、生活形によるシュート間の分配制御の違い、肥大成長とシュート伸長成長のあいだの分配を観測して、種間・生活形間の分化の適応をあきらかにした。
屋久島では、116種の葉試料について、葉齢分布、LMA,C/Nの分析を行い、予測した1年葉以上の種での窒素含量と葉寿命の無相関を、生活形にまたがって検出した。照葉樹の葉配置に認められる疑似輪生配置と二列生配置の二系について、シュート形態と葉特性との対比が存在することもあきらかにした。
【研究代表者】