チンパンジーを主とする西アフリカ生息霊長類の比較行動・生態学的研究
【研究分野】生態
【研究キーワード】
野生チンパンジー / 道具使用 / 水藻掬い / 葉座布団 / シロアリ釣り / 果実生産量 / 道具使用行動 / 季節変化 / 移出入 / 社会構造 / 地域変位 / 社会変動 / 植物季節 / ハンマー使用 / 食物選択性 / 採食品目 / 糞分析 / 主要食物資源 / 世代間伝播 / 臨界期 / 群間行動変異 / 文化的要因
【研究成果の概要】
1.本研究期間に、主調査地のギニア・ボッソウで新たに3種類の道具使用が発見された。すなわち、(1)50cm前後の棒を池の縁から差し出して浮遊する水藻(アオミドロ)を掬い、引き寄せて食べる「水藻掬い」。棒は片手でできるだけ遠くまで差し出すため、軽く細い草やシダの茎を選び、邪魔な枝葉を取り除いて使う。(2)雨季の濡れた地面に座るのに、大きな木の葉を数枚敷き、そのうえに座る「葉座布団」。(3)シロアリの塚の表面を崩し、細い草の茎を差し込んで、噛みついてきたシロアリを引き出して食べる「シロアリ釣り」。(3)は東アフリカのゴンベでは有名だが、西アフリカではこれまでほとんど観察されてこなかったもの。(1)、(2)は野生チンパンジーで最初の発見である。これらの発見により、これまで野生チンパンジーで発見された道具使用行動27種類のうち18種類がボッソウで発見され、最も道具使用レパートリーの広い地域集団であることが明らかになった。現在、その原因を生態学的に分析・検討している。
2.調査地を測量し、基本となる地図を作製した。また、調査地の植物相、主たる植物樹の果季と果実量を調べ、季節による食物供給量と道具使用行動の季節性を調査した。その結果、食物の少ない季節に頻繁な道具使用によって、それなくしては得られない食物の獲得に成功していることが明らかになりつつある。
3.個体群動態の資料が蓄積し、とくに10.5歳での出産を確認するにおよび、野生チンパンジーの初産年齢、出産間隔が、これまで東アフリカの研究から報告されていたよりはるかに早く、短いことが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
MASAWE Edeus | タンザニア共和国 | マハレ野生動物研究書 | 所長(研究職/">(Kakenデータベース) |
KOMAN Jeremy | ギニア共和国 | ニンバ山研究所 | 所長(研究職/">(Kakenデータベース) |
山越 言 | 京大理学研究科 | 日本学術振興会 | PD特別研究員 |
横田 直人 | 大分短期大学 | 園芸科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
松沢 哲郎 | 京都大学 | 霊長類研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
内田 亮子 | 千葉大学 | 文学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
佐倉 統 | 横浜国立大学 | 経営学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際学術研究
【研究期間】1995 - 1997
【配分額】22,500千円 (直接経費: 22,500千円)