社会性アブラムシにおける攻撃毒タンパク質の多様性と進化
【研究キーワード】
社会性アブラムシ / 兵隊階級 / 毒タンパク質 / 多様性 / 進化
【研究成果の概要】
本年度は、国内で採集した3種4タイプの社会性アブラムシを用いて、中腸と唾液腺の組織別RNAseq解析をおこない、兵隊攻撃毒の候補遺伝子を探索した。解析した種は、ワタムシ族に属するボタンヅルワタムシ(ゴール世代、二次寄主世代)とクサボタンワタムシ(二次寄主世代)、ツノアブラムシ族に属するヒエツノアブラムシ(二次寄主世代)で、各サンプルの兵隊および非兵隊から中腸と唾液腺の全RNAをそれぞれ抽出し、cDNAライブラリーを作製後、シーケンスを行った。その後de novoアセンブリ、リードマッピング、発現量解析を行い、兵隊で有意に発現亢進する遺伝子を攻撃毒候補として選別した。興味深いことに、ボタンヅルワタムシのゴール世代では唾液腺における兵隊特異的発現遺伝子が39個しか同定されなかったのに対し、ボタンヅルワタムシとクサボタンワタムシの二次寄主世代における兵隊特異的発現遺伝子は770個および641個と、ゴール世代に比べて10倍以上多い遺伝子が同定された。この結果は、ボタンヅルワタムシおよびクサボタンワタムシの二次寄主世代においては、唾液腺において様々な兵隊攻撃毒タンパク質が貯蔵されている可能性を示唆するものであり、現在詳細な解析を続けている。本年度はまた、ハクウンボクハナフシアブラムシの予備的解析から得られた毒タンパク質のペプチド抗体を作製して特異性チェックを行ったほか、大腸菌による組換えタンパク質発現や吐き戻し液のプロテオミクス解析についても予備的実験をおこなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
植松 圭吾 | 慶應義塾大学 | 法学部(日吉) | 助教 | (Kakenデータベース) |
森山 実 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
宮房 孝光 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)