ヒト発達脳の多波長光イメージング
【研究キーワード】
近赤外分光法 / ヘモグロビン / シトクロム / 脳 / 代謝 / 乳児
【研究成果の概要】
脳血液中のヘモグロビンおよび脳組織中のシトクロムの酸素化状態の時間変化を同時計測するため、試作した多波長近赤外光源を用いた装置を用いた検討を進めた。
成人を対象とし、前頭部または側頭部に光源から1、2、3、4cmの距離に配置したセンサーパッドを装着し、閉眼安静時(計測1)、呼吸の操作による低炭酸条件または高炭酸条件(計測2)、周期的呼吸条件(計測3)において、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)、シトクロムcオキシダーゼの酸化型と還元型の差分(ox-CCO)の濃度変化を推定した。また、上肢筋肉にセンサーパッドを装着し、カフによる虚血状態(計測4)で、同様に濃度変化を推定した。その結果、deoxy-HbのSNが、oxy-Hbとox-CCOのSNに比べて一貫して低い傾向が確認された。また、3cmおよび4cmで十分なSNの信号が得られにくかった。
そこで、レーザーパワーの出力を上げる調整を行うとともに、deoxy-Hbに対する光の吸収感度の高い短波長(730nm)のレーザー光源を新たに導入し、846nmのレーザー光源と入れ替えた装置の試作を行った。この新たな波長の組み合わせの8波長のレーザー光源(730、784、801、811、826、839、880、895nm)による装置で、同様の4つの計測を行った。スペクトル解析により、deoxy-HbのSNが改善し、3cmおよび4cmでの計測も可能になったことを確認した。そこで、得られた時系列データにおいて、3種類の信号をヘモダイナミクス、呼吸、脈波、計測ノイズの周波数帯域に分解した上で、変動の位相差の分析を行うプログラムを作成した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 尚人 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)