気孔装置解析による植物独自の高次情報処理のパラダイム提案
【研究分野】植物分子・生理科学
【研究キーワード】
気孔 / 葉緑体 / CO2 / 環境応答 / 高等植物 / 二酸化炭素
【研究成果の概要】
孔辺細胞葉緑体、および、気孔閉鎖因子SLAC1チャネルにおける環境シグナル受容、そして、膜交通を介した気孔装置における動的細胞間コミュニケーションに着目し、これらの階層の異なる細胞動態が、植物における環境感知・情報処理においてどのような役割を持つのか解析した。孔辺細胞葉緑体を欠失したシロイヌナズナ変異体gles1を用いて、CO2、光、乾燥シグナルの高次情報処理における同葉緑体の重要性を明らかにした。また、SLAC1チャネルにおけるCO2とABAそれぞれの独立したシグナル受信部位を特定した。さらに、気孔装置における細胞間コミュニケーションに関係する新規突然変異体の単離とその機能解析を行った。
【研究の社会的意義】
植物表皮系に分布する気孔装置 (stomatal complex) は、CO2、オゾンといった大気成分、光、水ストレス、生物的エリシター刺激などの多様な環境情報を感知し、全身の代謝バランスとあわせた高次の情報処理によって、植物個体の成長や生存のために最適な体内環境を作り出している。本研究は、植物における生体情報、環境情報の集積中枢となっている気孔装置における高次情報処理の仕組みを精査することによって、植物の生命力の強さ、すなわち頑健性の源となっている植物に特異的な細胞動態の解明をめざしている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
柳澤 修一 | 東京大学 | 生物生産工学研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(S)
【研究期間】2014-05-30 - 2019-03-31
【配分額】195,130千円 (直接経費: 150,100千円、間接経費: 45,030千円)