DNA結合タンパク質の新規なドメインを推定されるLAQボックスの構造と機能
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
DNA結合タンパク質 / DNA結合ドメイン / トウモロコシ / 転写因子
【研究成果の概要】
トウモロコシのDNA結合タンパク質MNBlaは既知のタンパク質とは相同性が見られず、新規なタイプのDNA結合タンパク質ではないかと推定されている。MNBlaはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター上のAAGGモチーフに塩基配列特異的に結合し、その遺伝子は多重遺伝子群に属している。先に、トウモロコシからMNBlaと相同性を有するcDNAを2種類クローン化し、ごく一部の領域にのみ3つのクローン間で高い相同性が見られることを明らかにしている。今回、MNBlaの様々な領域をβ-ガラクトシダーゼとの融合タンパク質として発現させ、そのDNA結合能を調べたところ、先の保存領域がDNA結合に重要な領域であることが明らかとなった。また、MNBla多重遺伝子群に由来する染色体DNAクローンを2種類単離し、解析を行ったところ、いずれのクローンもMNBla遺伝子そのものを含んではいなかったが、いずれもMNBlaの先の保存領域のすぐ下流の領域のみを有していることが明らかとなった。いずれのクローンもこの領域が転写されることが確認されたので、MNBla多重遺伝子群がエクソン-シャフリングによって進化してきた可能性を示唆するものであると考えている。さらに、MNBlaの機能を検討するために、エレクトロポレーション法を用いた解析を行った(Dr.Sheen,Harvard大との共同研究)。PPDKプロモーターの支配下にMNBlaのsence strandあるいはanti-sence strandを発現するプラスミドと、MNBlaの結合部位と35Sプロモーター(-72まで)とCAT遺伝子を連結したプラスミドを作成し、これをトウモロコシの葉のプロトプラストにco-transfectionしたところ、sence strandの発現に依存した約2倍程度のCAT活性の上昇が見られ、MNBlaは転写を促進する可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】1,100千円 (直接経費: 1,100千円)