光合成系の温度馴化の分子メカニズム:ルビスコのキネティクス特性と活性制御機構
【研究分野】植物生理・分子
【研究キーワード】
光合成 / 温度応答 / ルビスコ / アクチベース / 電子伝達 / サイクリック電子伝達 / リニア電子伝達 / 光活性化 / 高温 / 温度 / CO2同化速度
【研究成果の概要】
高温領域においてRubisco活性化状態が減少することが分かっている。ルビスコ活性化率の制御はアクチベースによって制御されるため、高温下におけるルビスコ活性化率の減少はアクチベース活性の減少が原因だと提案されてきた。しかし、申請者の研究結果によって、高温におけるルビスコ活性化率の変化は、アクチベース活性だけではなく電子伝達活性を介して制御されている可能性もでてきた。電子伝達経路には、これまでに直線的電子伝達経路と循環的電子伝達経路が存在することが知られている。そこで、NDH依存の循環的電子伝達経経路が欠損した変異体イネ、および、Cytochrome b_6/f complex量の減少によって直線的電子伝達速度が減少した形質転換体を用いて、電子伝達経経路によるルビスコ活性化制御について解析を行った。その結果、野生体イネと比べて、循環的電子伝達経経路を欠損した変異体イネではRubisco活性化率にほとんど変化がなかったが、直線的電子伝達速度が減少した変異体イネではRubisco活性化率が減少する傾向にあった。これまでの申請者の研究によって、アクチベースの活性はATP/ADP比やストロマの還元状態によって制御されることが明らかとなっている(Yamori et al. 2012 Plant J,71, 871-880)。よって、イネにおいて、Rubisco活性化状態の制御には、アクチベースだけではなく、電子伝達速度が関わっていることが示唆された。
【研究種目】特別研究員奨励費
【研究期間】2010 - 2012
【配分額】2,800千円 (直接経費: 2,800千円)