栄養成長期から生殖成長期への移行における核ゲノムDNA周辺の動態変化の解析
【研究キーワード】
生殖成長期 / マイクロRNA / ゼニゴケ / シロイヌナズナ / 生殖成長 / 栄養成長 / 核ゲノム動態 / RNAサイレンシング
【研究成果の概要】
我々はゼニゴケゲノム中、陸上植物間で非常によく保存されたマイクロRNA(miRNA)種の同定、およびそれらの持つ生物学的意義を解析している。その中の一つであるmiR529c遺伝子座を人為的に破壊し、その標的である転写因子SPL2の発現を促すと、環境変化なしにゼニゴケが生殖成長へと移行することを見出した。このことはモデル植物シロイヌナズナにおいて、miR529cとorthologousなmiR156a-hとSPL2/3/4/5/6/9/10/11/13/15の間で見られる抑制調節の様式とほぼ同質の実験結果である。miR156とmiR529cは配列も21塩基中17塩基の配列が同じでその前後が異なる配列となっているに過ぎず、いずれも発生の進行に大きく寄与する転写因子SPL遺伝子の抑制に関わる。両者の生成から制御の解析を通じて陸上植物の生殖成長移行への共通原理が理解できると考え、miR156/529cのプロセッシングゾーン、SPL遺伝子の転写発現ゾーン、さらに発現調節ゾーンを解析する実験系の構築を行なった。
自然の中では日の長さなどの環境変化という刺激によって生殖成長期へと移行するが、miRNAに注目することでこうした外界環境変化と切り離して解析できる系の構築を行なった。miRNAが生成される場は核であることが知られ、前駆体RNAとしてまず転写されて、その後D-bodyと呼ばれる核内構造体でプロセッシングを受けることが知られているので、まずそのプロセッシングゾーンについて解析することを想定し、D-bodyの構成因子としての酵素DCL1の野生型、変異型、DCL1のパートナー分子とされるHYL1タンパク質やSEタンパク質について、蛍光タンパク質融合型遺伝子を発現する形質転換体を作成した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
阿部 光知 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
都筑 正行 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)