緑色細菌型光化学反応中心の電子伝達の分光学的研究
【研究分野】植物生理
【研究キーワード】
光合成 / 反応中心 / 緑色硫黄細菌 / シトクロム / 鉄硫黄クラスター / 閃光吸光分光 / メナキノン-7 / Fe-Sセンター / 閃光分光
【研究成果の概要】
緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumの反応中心は、シトクロムc(cyt c)を結合している。反応中心電子伝達体間の電子伝達のkineticsを多連閃光励起後の吸収分光法により追跡した。閃光照射により生じたP840^+は、1回目の閃光照射1s後には95%が半減期約65μsで、2回目には80%が半減期約100μsで、3回目には約23%が半減期約100μsでcyt cにより還元された。また、他の研究者が報告している1-10μsの成分は、存在しなかった。この時観察された反応速度、酸化還元平衡時のP840^+量、光酸化されたcyt cの蓄積量は、機能的に等価なcyt cが反応中心粒子当たり2個存在するというモデルによって矛盾なく説明することができた。酸化還元平衡のデータは、cyt cの酸化還元電位はP840よりも53mV高く、1個のcyt cの酸化還元状態は他のcyt cの電位に影響を与えないという仮定により矛盾なく説明できた。
反応中心複合体標品は、0.6-1.2個のmenaquinone-7を結合していた。しかし、360-450nmの波長域に亘って10ns-4μsの時間分解能で測定をおこなったが、menaquinone-7の酸化還元を示唆するような吸収変化は観測できなかった。P840^+とA_o^-間の電荷再結合は、正常な状態の反応中心粒子では観測されない。電子受容体側の研究では、4発目の閃光後に約20nsで急速に減衰する成分が存在すること、PSIではμs領域で安定に保持できる電子の数が4であるのに対し、これと相同性が高いと考えられる緑色硫黄細菌反応中心では3個であることが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
BRETTEL Klau | CEA de Saclay | DBCM | researcher |
SETIF Pierre | CEA de Saclay | DBCM | research d |
井上 和仁 | 神奈川大学 | 理学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
楠元 範明 | 早稲田大学 | 教育学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際学術研究
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】8,700千円 (直接経費: 8,700千円)