小規模島嶼群における文化適応と潜在性の考古学的研究
【研究キーワード】
トカラ列島 / 物質文化 / 食性 / 島嶼環境 / 境界領域 / 悪石島 / 中之島 / 考古遺物 / 環境 / 土器・陶磁器比較調査 / 臥蛇島分布調査 / 口之島分布調査 / 遺物整理作業 / オルソ画像作成 / 土壌試料分析 / 小規模島嶼群 / 臥蛇島 / 宝島 / 諏訪之瀬島 / 宮水流遺跡 / 縄文土器 / フィリピン大学 / 喜界島 / 小規模島嶼 / 文化的多様性 / 潜在的持続性 / 中之島調査 / 弥生時代 / 平安時代 / 軽石製品 / 平島 / 清朝磁器
【研究成果の概要】
当該年は,コロナ禍の状況下において,予定していた実地調査(悪石島発掘調査)を行うことができなかった。そのため予定を変更し,奄美諸島においてトカラ列島出土土器・陶磁器の比較研究を実施した。トカラ列島中之島出土土器,悪石島採集土器,宝島出土土器を奄美市歴史民俗資料館所蔵土器と比較検討を行なった結果,宝島出土土器は奄美出土土器とほぼ同じ特徴を持つことが判明した。また,平島で採集される無人漂着船由来の清朝磁器が,奄美市笠利で採集されている事実から,その採集地点を実地調査したが,同様の製品は得られなかった。さらに,人的接触をできる限り避けながら調査を実施する方法として,無人島である臥蛇島の分布調査を実施した。これまで確認できていなかった旧牧場地点や学校の教員宿舎跡なども踏査したが,大きな成果はなかった。しかしながら,集落地点からは磨製石斧,古代須恵器,青磁,清朝磁器などを多数得ることができた。ほかにもトカラ列島中之島宮水流遺跡出土炭化物の放射性炭素年代測定を実施した。
当該年は悪石島発掘調査も重要な研究の一環であるため,100万円を繰越し,2021年度に実施する予定とした。
ところが,2021年度もまたコロナ感染状況は継続・悪化し,受け入れ側のトカラ列島の状況(無医村であるため),研究機関の出張制限のために,悪石島発掘調査を実施することは不可能となった。そのため,次年度以降に予定していた資料整理作業や分析の前作業を前倒しで実施することとした。遺物整理のための消耗品の購入(コンテナなど)や報告書作成のための機材(照明・フィルムスキャナーなど),学生アルバイトによる遺物整理作業,遺物3D図面作成(陶磁器類)と植物遺体の検出作業(ウォーター・フローテーション)の委託業務を実施した。これらは2022年度に実施する予定であった作業を前倒しで行なったことになる。
【研究代表者】