生殖フェロモンの中枢作用の関する神経行動学的研究
【研究分野】応用動物科学
【研究キーワード】
フェロモン / G_nRH / 多ニューロン発射活動 / 生殖内分泌 / 雄効果 / 鋤鼻嗅覚系 / 視床下部 / シバヤギ / GnRH / 鋤鼻系
【研究成果の概要】
本研究の目的は,哺乳類における生殖フェロモンの産生機構,受容伝達機構および中枢作用について検討することであり,成果は以下のように概括される。
1)フェロモンの産生接構;去勢シバヤギの皮下に,テストステロン(T),デヒドロテストステロン(DHT),エストラジオール(E2)を移植し,フェロモン活性の消長と皮脂腺の発達を評価したところ,皮脂腺の発達はTあるいはDHTによって頭部でのみ認められたのに対し,フェロモン活性はDHT処置により頭部ぱかりでなく臀部でも誘導され,フェロモン産生ほ皮脂腺の発違とは異なる生理機構により制御されることが判明した。
2)フェロモンの受容伝達機構;ラットフェロモン受容体に対する抗体を作製し免疫組織学的検索を行ったところ,フェロモン受容体は鋤鼻神経細胞の微絨毛に限局して観察された。また,齧歯類で報告されたフェロモン受容体遺伝子(1型および2型ファミリーが存在)についてシバヤギホモログ遺伝子の同定を試みたところ,2型のうちいくつかは実際に発現していることが確認されたが,1型はゲノムDNA上には存在しているものの鋤鼻器では発現していないことが示された。また幾つかの動物種の鋤鼻器および副嗅球におけるG蛋白αサブユニットの局在について調べたところ,齧歯類のようなG_<αi2>とG_oの明瞭な部位別局在様式は観察されず,ラットの知見が必ずしも哺乳類一般には外挿できないことが示唆された。
3)フェロモンの中枢作用;シバヤギの視床下部内側底部に留置した電極よりG_nRHパルスジェネレーターの特異的神経活動をモニターしながらフェロモン提示の影響を検討したところ,短期の提示により直ちに発火活動が上昇し,また持続的提示により提示期間の長さに応じてG_nRHパルスジェネレーターの活動が促進されることなどが明らかとなり,フェロモンの中枢作用を直接的に観察するとことが可能となった。
【研究代表者】