黄体ホルモン・プロゲステロンによる植物生長制御の分子機構
【研究分野】応用生物化学
【研究キーワード】
植物ステロイドホルモン / プロゲステロン / シロイヌナズナ / 胚軸伸長 / 7回膜貫通型タンパク質 / Gタンパク質 / mPR / 受容体 / 黄体ホルモン / Gタンパク質共役型受容体 / 情報伝達 / アラビドプシス / 細胞膜 / 7回膜貫通ドメイン
【研究成果の概要】
ステロイド骨格は類縁ながら側鎖形状が動物ステロイドホルモンとは異なるブラシノステロイド類に限られていると考えられていた。本研究では、動物ステロイドホルモンとして知られるプロゲステロンについて、プロゲステロン内部標準物質とGC-MS解析によって、イネとアラビドプシスにおいて、確かにプロゲステロンが内生することを明らかにした。さらに、エンドウ、トマト、ジャガイモ、リンゴなど様々な植物にも植物ホルモンと同程度の内生量で存在すること、また、主に未熟種子などで内生量が多いことから、植物においても生殖期に機能する可能性を示した。
続いて、シロイヌナズナを被験植物として、弱光および暗黒条件下における胚軸伸長に対するプロゲステロンの作用を調べた結果、プロゲステロンの伸長促進活性が明らかとなった。これにより、プロゲステロンが植物に内生するに留まらず、確かに生理機能を持ち、植物成長においても重要な機能を果たす活性化合物であることを明らかとした。
さらに、生理機能発現の第一段階として、プロゲステロン受容体の探索を行い、ヒトのプロゲステロン結合タンパク質に対する相同性遺伝子を3種類と、7つの膜貫通領域を有するGタンパク質共役型受容体(mPR)に対する相同性遺伝子を6種類得た。特にAmPR1遺伝子について解析を進め、AmPR1遺伝子破壊突然変異体においては、胚軸伸長が低下しており、また、AmPR1遺伝子産物は花器官で高い存在量を示すことを明らかとした。これらのことより、AmPR1が植物におけるプロゲステロン受容体である可能性が高いという考察結果が得られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
横田 孝雄 | 帝京大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
瀬戸 秀春 | 独立行政法人理化学研究所 | 辻本細胞生化学研究室 | 専任研究員 | (Kakenデータベース) |
浅見 忠男 | 独立行政法人理化学研究所 | 辻本細胞生化学研究室 | 客員主管研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】4,010千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 510千円)