低造腫瘍性を示すアフリカツメガエルのゲノム情報による原因遺伝子同定とヒトへの応用
【研究キーワード】
Cdk阻害因子 / 造腫瘍性 / Cyclin E / アフリカツメガエル / 胞胚中期 / 尾芽胚 / エピジェネティック制御 / CDK阻害因子 / Xenopus / CDK7 / Cyclin H / CAK / 癌 / 癌抑制因子 / 細胞周期制御
【研究成果の概要】
これまでに実施した遺伝子発現量のin silico比較解析によって、X.laevisにみられる低造腫瘍性の原因因子としてCyclin E1を見出した。Cyclin Eは、細胞周期を直接制御し、細胞増殖を調節する因子であるため、Cdk阻害因子に依存しないX.laevisの低造腫瘍性の原因遺伝子の候補と考えた。X.laevisにおいて Cyclin E1 は特異的な発現様式を示す因子として報告されており、そのタンパク質は、母性因子としてX.laevis 受精卵に多量に存在するが、受精後12回目の分裂後となる中期胞胚遷移 (MBT) から急激に分解される。このような特徴的な挙動を示すものの、X.laevis初期発生過程における Cyclin E1 の機能は未解明のままである。そこで、本研究では、Cyclin E1の変異体を作成し、そのタンパク質を受精卵に導入することで現れる表現型から機能解析を行った。まず、胞胚中期での分解をうけないCyclin E1タンパク質を作成し導入したが、MBT を含む初期発生過程に異常は認められなかった。しかし、体細胞分裂期である尾芽胚において尾部異常(短小化)の発生率が統計的有為となった。通常の体細胞周期制御では Cyclin EはCdkとの結合を通して機能を示すため、次にCdk結合部位を欠損させたCyclin E1を導入したが尾部異常の頻度は減少しなかった。このことから、Cyclin E1の尾芽胚における機能にCdk結合は関与しないことがわかった。
Cyclin E1 の Cdk 非依存的な働きの原因を知るため、GST-CyclinE1 およびその変異体を受精卵にマイクロインジェクションし、胞胚中期の前後において glutathione ビーズで回収した。Cyclin E1 結合因子を質量分析で探ったところ、ゲノムの epigenetic 制御に関わる因子などを得た。これらについて更に機能解析を進める予定である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)