無性生殖から有性生殖への切替えを誘導する物質の探索
【研究分野】発生生物学
【研究キーワード】
性誘導 / 有性生殖 / 無性生殖 / プラナリア / 性転換
【研究成果の概要】
有性生殖は、遺伝子の混合手段としては重要であるが、「生殖」という観点からは無性生殖に比べて不利である。おそらくこの矛盾を解決するために、多くの動物は無性生殖と有性生殖をともに行い、状況により、使い分けていると考えられる。本研究は、無性生殖から有性生殖への転換がどのような分子機構によるのかという問題を解明することを目指し、プラナリアにおける性誘導の詳細な解析を試みた。昨年度開発した性誘導物質単離のアッセイ系を用いて、性誘導過程を外部形態、組織的観察、再生テストにより以下の6つの段階に分類することができた。Type 1:卵原細胞の卵巣を持ち、再生テストによりそれまで誘導されていた生殖器官を退化して分裂を行う固体。Type 2:卵母細胞まで成熟している卵巣を持ち、再生テストにより分裂を数回行うが生殖器官は退化せずに誘導が進行して有性生殖を行えるようになる固体。Type 3:成熟した卵巣のみが観察され、再生テストにより分裂を数回行うが生殖器官は退化せずに誘導が進行して有性生殖を行えるようになる固体。Type 4:成熟した卵巣、精巣と生殖孔が観察されるが卵黄腺は観察されず、再生テストにより分裂を数回行うが生殖器官は退化せずに誘導が進行して有性生殖を行えるようになる固体。Type 5:成熟した卵巣、精巣、生殖孔が観察され、再生テストにより分裂は行わないで誘導が進行して有性生殖を行えるようになる固体。Type 6:性誘導が進行し卵黄腺まで分化した卵巣と生殖孔が観察され、再生テストにより分裂は行わないで誘導が進行して有性生殖を行えるようになる固体。これらの分類を基本にして、現在、性誘導物質の単離・同定、性誘導により発現される遺伝子(群)の解析を行っている。
【研究代表者】