内分泌系によるオートファジー調節機構の解析
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
オートファジー / インスリン / 糖尿病 / アミノ酸 / mTOR / FIP200 / ULK / ULK1
【研究成果の概要】
本課題ではオートファジーによる細胞内分解がどのように制御されるかについて、特に内分泌系に注目して解析を行うことを目的とした。まずオートファジーの生理的な制御機構を解析する目的で、栄養のマスターレギュレーターとして知られるタンパク質キナーゼmTORについて研究を行った。栄養飢餓時のmTORの不活性化を各臓器で調べたところ、各臓器のmTOR不活性化のタイミングはオートファジーの開始と非常に良く相関しており、実際生体内でもmTORがオートファジー制御に中心的役割を担っている可能性が示唆された。次にmTORの上流因子としてのインスリンの関与を、糖尿病モデルマウスを用いて調べた。その結果、ストレプトゾシン誘導性I型糖尿病モデルでは摂食時においてもオートファジーが誘導されることが観察され、それは心筋、骨格筋、肝で特に著明であった。また、この効果はインスリンと糖の投与について一部抑制可能であった。しかし、これらのマウスにおいても、絶食によってさらにオートファジーが誘導されるため、インスリンが主要なオートファジー制御因子ではあるものの、それ以外の因子の関与も示唆された。反対に、mTORの下流で機能するオートファジー制御因子として新規にFIP200というULK1結合因子を同定した。この因子はアミノ酸飢餓によって誘導されるオートファジー、および増殖因子の飢餓によって誘導されるオートファジーのいずれにも必要であることが判明した。この因子とmTORとの関連をさらに解析することによって、オートファジーの制御機構がより明らかにされることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】17,620千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 2,220千円)