構造生物学によるミトコンドリア翻訳装置の構築原理の解明
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
翻訳システム / ミトコンドリア / EF-Tu / tRNA / セリルtRNAシンテターゼ / 線虫 / リボソーム / X線解析 / in vitro翻訳システム / tRNA^<Ser>GCU / tRNA^<Ser>UGA / セリルtRNAシンテータゼ / X線構造解析 / 機能構造 / ミトコンドリアtRNA / トランスホルミラーゼ / リボソーム蛋白質 / X線結晶解析 / SerRS / 異常構造 / リボソームタンパク質
【研究成果の概要】
本研究の目標は、現存する生物のうちでもっとも単純と思われる、動物ミトコンドリアの特異な翻訳システムにおける個々の装置の機能特性と構造的な異常性に焦点を当て、それらの機能構造の詳細な解析と実行可能なものからその立体構造を解明し、機能発現に必要な構造を探ることをにより、ミトコンドリア翻訳システムの構築原理を解明することである。主たる研究成果は以下の通りである。(1)ウシ・ミトコンドリアのin vitro翻訳システムを構築し、系の最適化を計った結果、ポリ(U)依存ポリ(Phe)合成で大腸菌のものと比肩し得る活性を示す系を確立した。(2)tRNAと翻訳因子をセットにする限り、またL7/L12蛋白質のみ大腸菌由来のものを使う限り、大腸菌とミトコンドリア・リボソームに互換性があるので、本質的にリボソーム機能は両者で等価である。(3)異常な2次構造をもつ2種類のセリンtRNAが低いながらも翻訳機能をもつことを実証した。特に片腕を欠くtRNAの効率の低さはA部位への結合に欠陥のあるためであった。(4)これら2種類のセリンtRNAは単一のセリルtRNAシンテターゼ(SeRRS)でアミノアシル化されることを明らかにし、その認識部位を特定した。(5)線虫ミトコンドリアに存在する大部分のTアーム欠損tRNAを認識する特殊なEF-Tuを発見した。それはC末端に57アミノ酸の延長部をもち、それが欠けたTアーム部分を補完していた。また2種類のDアーム欠損セリンtRNAに対応する別のEF-Tuはアミノ酸部分をも認識していた。(6)これらの翻訳因子の結晶化を行い、SerRSでは針状結晶を得た。tRNA-EF-Tu複合体の結晶化とともに、これらのX線解析を行う。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大槻 高史 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
鈴木 勉 | 東京大学 | 大学院・新領域創成科学研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】34,720千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 1,920千円)