界面和周波発生を用いる固体表面の非線型分光法の開発
【研究分野】物理化学一般
【研究キーワード】
和周波発生(SFG)分光 / 振動SFG分光 / 界面SFG分光 / 非線形レ-ザ-分光 / 非線形振動分光 / 吸着分子の振動スペクトル / 吸着分子の配向 / 吸着分子の振動分光 / 界面和周波発生 / SFG / 非線型分光法 / ピコ秒YAGレ-ザ- / ニオブ酸リチウム / LB膜 / パラメトリック増巾 / 赤外レ-ザ- / パラメトリック発振 / KDP / 2倍波発生 / 表面
【研究成果の概要】
前年度までに、モ-ドロックNd:YAGレ-ザ-装置を用いた光学系と、超高真空システムがほぼ完成した。またLangmuirーBlodgett(LB)膜を使った測定により、目的とするスペクトルが観測できることを確認した。これらの結果を踏まえて、本年度は次のような研究を行った。1)解析プログラムの開発:界面和周波発生(SFG)スペクトルに観測される偏光特性から、固体表面における分子の配向に関する情報を引き出すことができる。この目的を達成するために、パソコンを用いたシミュレ-ションプログラムを開発し、LB膜における末端にメチル基の配向の解析に適用して、良好な結果を得た。また、この際に必要となる3階テンソル成分の座標変換に対する変換係数を導出した。2)金属酸化物表面の吸着種:超高真空装置を用いて、酸化マグネシウム(MgO)単結晶表面に吸着したギ酸イオン(HCOO^+)のSFGを測定した。併せて測定した昇温脱離スペクトル(TDS)との比較から、ギ酸の分解過程に関する知見が得られた。また、SFGの偏光特性から、CH基が面に対して役30^゚傾いていることを見出したが、これは、従来全く知られていなかった事実であり、吸着メカニズムの研究に一石を投ずるものである。3)LB膜の配向ダイナミクス:累積LB膜においては末端メチル基が基板に対して面内配向を示すことを前年度に見出していたが、アルキル主鎖に付いているメチル基の伸縮振動を励起するとこの面内配向が崩れること、更に、この崩れが励起光のエネルギ-に依存することを見出した。4)測定の自動化:波長可変赤外光のチュ-ニングと振動強度の積分/取り込みを自動化するためのプログラムソフトの開発に着手した。現在、主要部分についてテストを行っている。
以上、今年度は、装置の最終的なチェックとして種々の測定を行ったが、対象となった表面吸着分子についてこれまで知られていなかった事実を多く見出すことに成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
増谷 浩二 | 日本電子(株) | 研究開発部 | 次長 |
清水 肇 | 工業技術院 | 電子技術総合研究所 | 室長 |
堂免 一成 | 東京工業大学 | 資源化学研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
広瀬 千秋 | 東京工業大学 | 資源化学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究
【研究期間】1989 - 1991
【配分額】34,000千円 (直接経費: 34,000千円)