熱プラズマによる廃棄物からの金属資源回収
【研究分野】プラズマ理工学
【研究キーワード】
熱プラズマ / 廃棄物 / 資源回収 / セラミックス / 焼却灰 / 反応機構 / リサイクル / 水素
【研究成果の概要】
この研究は、反応性熱プラズマを用いて都市ごみ等の焼却灰を溶融、無害化しこれから金属資源を回収することを最終目的とし、その基礎的研究として、4種類の反応性ガスを添加した熱プラズマで5種類のセラミックスを処理し、生成物、残留物等の分析や起こりうる反応のギブス自由エネルギー変化の比較により反応機構の解明を行った。その結果、各セラミックス処理において、反応経路を「試料中の熱分解→試料上の反応→蒸発→気相中の熱分解→気相中の反応」という分類にしたがって整理した。そしてさらに分解対象のセラミックスをマグネシア(MgO)、シリカ(SiO_2)、アルミナ(Al_2O_3)に絞り、反応性ガスも水素(H_2)だけを取り上げ、これらセラミックスと反応性プラズマとの作用機構を詳しく検討した。その結果、MgOやSiO_2の場合はH_2を添加すると試料の質量減少が促進され、添加量が多くなるとその効果は少なくなった。また水素添加効果の現れている際の質量減少速度はH_2濃度の0.5乗に比例し、還元作用にH原子が関与していると考えられ、これはプラズマ発光分析により確認された。MgOの場合は生成物に金属Mgが存在し、金属回収の可能性が示されたが、SiO_2の場合は生成物中にSiは見られず、金属回収は困難であると推測された。これらの結果と平衡組成図、表面温度の推算値などから、H_2によるMgO,SiO_2の蒸発、還元機構のモデルを提案した。一方、Al_2O_3の場合、H_2を添加しても質量減少はほとんどみられず、これは推算した基材表面温度での平衡組成で、Al_2O_3は安定であるためと考えられた。今後はこれら3種類の混合物での実験を行い、その結果と、ここで得られた結果をもとに反応性熱プラズマによる焼却灰からの有用金属回収法を提案する予定である。
【研究代表者】