金属異材接合部の腐食劣化数理モデルの構築とデータ同化の実装による高精度化
【研究キーワード】
ガルバニック腐食 / 数値シミュレーション / Fe/Al対 / 電気化学計測 / 腐食モデル / 鉄鋼/アルミニウム合金対 / マルチマテリアル / FEM / 多変量解析
【研究成果の概要】
自動車などの内燃機関から排出されるCO2量を削減するには,燃費の向上に加え,車体の軽量化が重要である.自動車車体の場合は,使用量が多い鉄鋼材料に対して衝突安全性の担保と軽量化が実現できる高強度化が急務となっているが,その一方で一部の鋼材を比強度、耐食性、加工性に優れるAl合金や炭素繊維強化プラスチックなどに置き換えるマルチマテリアル化が重要な技術として期待されている.本研究では,マルチマテリアル化において問題となるガルバニック腐食について,精緻な腐食モデルを確立し,接合部分の耐久性評価に寄与する技術開発を目指している.
ガルバニック腐食モデルの構築と評価手法の確立には,実際の測定によって大量の分極挙動データセットを準備するボトムアップ的な数値計算モデルでは対応できず,より合理的な境界条件セットの収集方法を構築すべきである.そこで,本研究では,腐食シミュレーションのためのキーとなる境界条件の整備を行う.さらに,ガルバニック腐食において現象を支配する環境因子を明確化し,それに対して時間変化する分極挙動を予測する手法を確立する.これらにより高精度な腐食シミュレーションが可能となり,ガルバニック腐食による接合部の劣化寿命予測が現実的なものとなる.
本年度では,昨年度に引き続き,NaCl中におけるFe/Al接合対のガルバニック腐食機構の解明を目的に,種々の塩化物イオン濃度に対して,ガルバニック腐食データを交流および直流電気化学測定により収集した.また,得られたデータを基に,腐食機構を検討するとともに,観測データを表すための腐食シミュレーションを実施した.その結果,Fe/Al対の腐食機構を明確化するとともに,実測したガルバニック腐食データと腐食シミュレーション結果との差異について検討し,分極曲線の経時変化を再現することの重要性を明らかにした.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)