自然免疫受容体ファミリーの遺伝子改変マウスの作製とヒト疾患モデルを用いる機能解析
【研究キーワード】
C型レクチン受容体 / 腸管免疫 / 腫瘍免疫 / 自己免疫疾患 / Dectin-1 / C型レクチン / 自然免疫受容体 / 疾患モデル / ノックアウトマウス / CRISPR-Cas
【研究成果の概要】
今年度は、コロナ流行が拡大していたが、研究が計画通り順調に進んでいた。具体的に、1.腸管の腫瘍形成におけるDectin-1の役割解析において、APCmin背景のIL-22BPとDectin-1のダブル欠損マウスでは、APC-Dectin-1欠損より小腸と大腸のポリプ形成が激しく亢進し、生存率も著しく短縮した現象が見られ、Dectin-1の下流ではIL-22BPを抑制することによって腸管腫瘍の発症を促進させることが分かった。また、Card9とDectin-1のダブル欠損マウスでは、AOM-DSSによる大腸腫瘍形成はDectin-1のシングル欠損と大きな変化がなく、野生型マウスより軽減することから、Dectin-1は主にCard9を介して腫瘍形成に働くことが分かった。2. NK細胞依存性腫瘍の病態制御のおけるDectin-1の機能解析について、B16F10のメラノーマ株を欠損マウスに注射し肺転移を観察した結果は、腫瘍細胞の転移と増殖がDectin-1欠損マウスでは野生型より顕著に軽減した。この結果はeLife. 2014; 3: e04177で発表した結果と逆で、従来法で作製した129/B6背景の欠損マウスが例え9世代バッククスしてもClec7aと同じ6番染色体にあるNK1.1や他のC型レクチンが依然入ってこないことが分かった。3.自己免疫疾患である多発性硬化症の制御におけるClec1aの役割解析が進んでおり、今年度でまとめた結果を論文してからExp. Anim投稿し、正式にアクセプトされた。4.腸管関連疾患である大腸炎と大腸腫瘍形成におけるDCIRの役割解析を進み、DCIRが腸管骨髄由来細胞で発現し、IL-1b産生を抑制することによってILC3からGM-CSFの産生を抑制しDSS大腸炎とAOM-DSS誘導大腸腫瘍の発症を促進させることを明らかにし、まとめた論文を投稿中である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岩倉 洋一郎 | 東京理科大学 | 研究推進機構生命医科学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
角田 茂 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
Chung Soo・hyun | 東京理科大学 | 研究推進機構生命医科学研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)