RNAダイナミクスの学理構築とRNA標的薬剤アッセイ系の構築
【研究キーワード】
1分子計測 / RNA / 1分子計測 / ダイナミクス / 過渡構造
【研究成果の概要】
2021年度は、RNA構造転移の測定法の1つとして、三重項-三重項エネルギー移動を利用した、RNA構造転移の測定法の開発に取り組んだ。一重項-一重項エネルギー移動であるFRETでは、一般にエネルギードナー、アクセプター間の距離が50Å程度以上変化する大きな構造転移の観測に優れている。これに対し、三重項-三重項エネルギー移動では、ドナー、アクセプター間の衝突が必要であるため、ドナー、アクセプターが衝突するRNAの分子運動に絞って追跡できる。ここで、1分子蛍光観察特有の現象であるblinkingを利用し、蛍光相関解析から三重項-三重項エネルギー移動が起こるのに要する時間(τT)を求める(1/τT はRNA分子運動速度に対応)。アクセプターとしては1,4,5,8-cyclooctatetraene(COT)を用いる。COTは、三重項-三重項エネルギー移動によりエネルギーを受け取り、100 μs以内にそのエネルギーを熱として放出し、蛍光分子の光安定性を向上させることが報告されている。蛍光分子としてATTO 647N、市販のCOTアミダイト誘導体を用いて、DNAをプラットフォームとしてblinkingにより三重項-三重項エネルギー移動の観測を試みたところ、τTがATTO 647NとCOT間の1本鎖DNAスペーサが長くなるほど長くなった。また、DNAスペーサがより柔軟なポリTの時に、より剛直なポリAと比べτTが長くなり、τTがDNAの1本鎖ダイナミクスにより起こるATTO 647NとCOTの分子衝突に要する時間を反映している、すなわち、τTの測定により核酸の構造転移を観測できることが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田邉 一仁 | 青山学院大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)