有機チタン化合物の直接合成法の開発と有機合成への利用
【研究分野】合成化学
【研究キーワード】
チタン / 求核アシル置換 / エステル / ヘテロ環化合物 / 光学活性 / アリルチタン化合物 / アミノ酸 / 環状化合物 / アリルアルコール / アレン / 有機チタン化合物 / アリルチタン / プロパルギルチタン / アレニルチタン / アセチレン錯体 / 酸化的付加 / アリルアミン
【研究成果の概要】
2価チタン錯体の合成とその反応性を利用した有機合成に関心が集まっているが、あまり大きな成果は得られていない。我々は近年、Ti(O^iPr)_4と2当量の^iPrMgClとの反応で2価のチタン錯体(η^2-propene)Ti(O^iPr)_2が定量的に得られることを見出した。そしてこの錯体が予想通りの高い反応性を示すことを明らかにし、その結果として「2価チタン錯体を経由する有機合成」のまったく新しい分野の化学を拓くことができた。本研究ではこの分野の化学をさらに発展させ、実践的有機合成手法としての確立を図ることを目的とした。その結果、次の成果を得ることができた。
(1)環状アリル化合物と(η^2-propene)Ti(O^iPr)_2の反応で環状アリルチタン化合物を合成し、これとアルデヒドやイミンの選択的付加反応を達成することができた。この反応は環状化合物への側鎖の選択的導入法として利用価値が高い。
(2)2価チタン錯体と不飽和エステルやカーボネートを反応させると従来あまり例のない分子内求核アシル置換反応が起こり、有機チタン化合物を与えることを明らかにし、さらにこの知見を利用しヘテロ環化合物の合成を行った。
(3)Ti(O^iPr)_2とアセチレン類の反応でチタン-アセチレン化合物が得られること、またこのアセチレン化合物はアルデヒドと定量的に反応しアリルアルコールを与えることを見出し、さらに光学活性アルデヒドを用いて反応を行い、光学活性アリルアルコールの合成を行った。
(4)アレニルアルコールのエステル体と2価チタン錯体の求核アシル置換反応が起こることを見出し、さらにアレニル基の不斉を利用した光学活性化合物の合成を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岡本 専太郎 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
占部 弘和 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1995 - 1996
【配分額】7,200千円 (直接経費: 7,200千円)