オゾン反応性計測に基づく植物由来揮発性有機化合物の放出特性把握
【研究キーワード】
揮発性有機化合物 / 自然発生源 / 植物 / 放出特性 / 大気化学反応 / 反応性 / 温度依存 / オゾン / オゾン反応性 / 放出速度 / 温度依存性
【研究成果の概要】
目的)大気汚染研究では、生物起源揮発性有機化合物BVOCs の植物から大気への放出特性の解明が急務である。代表者はこれまで、BVOCs をオゾン反応性RO3 として包括的に捉える装置 RO3 計を世界に先駆けて実用化し、狭山丘陵での森林大気観測試験を実施して、従来法で捕捉困難な未測定成分の重要性を示してきた。本研究では、独自の RO3 計を発展させ、発生源の直近にて RO3 を直接測定する系を構築し、植物から大気への BVOCs 放出を RO3 として包括把握する実験を試みて、BVOCs の挙動と支配要因の把握を目指す。
計画)本研究は、(1) 枝エンクロージャー法 BE とRO3 計を組み合わせた BVOCs 放出測定装置 BE/RO3 計の確立と室内実験、(2) 実際の植生を対象とする放出測定の試みと事例蓄積、(3) 放出特性の測定結果と以前の観測結果に基づく BVOCs 挙動の考察、に挑む。前年度までに(1)を実施した。
成果)当該年度は、屋外の植生を対象とする実地測定を実施し、計画2に関して以下の成果を得た。観測地点直近に生育する広葉樹の枝を1本選定し、葉のある先端部分をBEにて包んだところに清浄空気ZGを供給し、得られる試料空気を連続的にRO3 計へ導入して測定した。今回は、毎回同じ枝を対象として日中から夕方に測る事例を、盛夏と晩秋の計4日分蓄積した。夏、特に直射日光が当たって高温となった時間帯には、RO3値が特に高かった。一方、夏でも比較的低温の時間帯や晩秋は、RO3値は定量限界以下であった。これは、植生におけるBVOCs放出の温度や光量に対する依存性を反映したものと考えられる。BVOCs個別測定でも同様の傾向が見られた。計画3につき初歩的考察を試みた結果、今回得たRO3放出の温度係数は以前の外気RO3観測結果と整合した。本手法の妥当性を実地測定により確認できた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 俊吾 | 東京都立大学 | 都市環境科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)