簡便な次世代用感光性ポリベンズオキサゾールの開発
【研究分野】高分子化学
【研究キーワード】
感光性 / ポリマー / 耐熱性 / ポリベンズオキサゾール / 化学増幅 / 光酸発生剤 / 熱酸発生剤 / 溶解抑止剤 / 感光性ポリマー / 活性エステル / 溶解抑制剤 / 直接エステル化 / 耐熱性ポリマー
【研究成果の概要】
低温環化可能な感光性ベンズオキサゾール(PSPBO)の開発
PSPBO用の熱酸発生剤(TAG:Thermmal Acid Generator)としてイソプロピル-ρ-トルエンスルホネート(ITS)に着目した。ITSは150℃で加熱するとρ-トルエンスルホン酸を発生し、この酸を触媒としてポリ(ο-ヒドロキシアミド)(PHA)が250℃でPBOに環化することがIRスペクトルからわかった。また、ITSは酸存在下では分解温度が低下することから、PSPBOに用いた際には酸増殖機能が期待できる。そこで、前述の化学増幅型溶解抑止剤を用いたPSPBOに、低温環化用の触媒としてITSを導入した、低温環化可能なPSPBOについて検討を行った。PHA/化学増幅型溶解抑制剤/熱酸発生剤(TAG)/光酸発生剤(PAG)からなる四成分系PSPBOの感光性評価を行ったところ、露光後加熱が120℃、3分の時にアルカリ水溶液に対する露光部と未露光部の溶解速度差が700倍となり、良好な溶解コントラストが得られた。また、ITSの酸増殖機能のために、PAGの添加量が1wt%以下でも露光部と未露光部の高い溶解速度差が得られた。次に、PSPBOの感光特性を評価したところ、高感度、高コントラスト(D_0=33mJ/cm_2,γ_0=5.1)で、10μmの厚膜フィルムに20μmの線幅のパターンを描画することができた。以上のように、PHAに化学増幅型溶解抑止剤とTAGを組み合わせたPSPBOは、高感度、高コントラスト、厚膜加工性、低温環化だけでなく、容易なPSPBOの調整、高価なPAGの添加量の削減も可能となる様々な要求に応えた次世代PSPBOといえる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
芝崎 祐二 | 岩手大学 | 工学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】14,260千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 960千円)